米商務省、対中国ガードレール発表 10年間で中国での生産量拡大は5%のみ 集積度を高めることでさらに拡大することは可能 「輸出統制を避けなければ工程転換は不可能」

 これからサムスン電子とSKハイニックスが米国政府の投資補助金を受ける場合、10年間は中国内での先端半導体の生産量拡大を5%以内に制限するという方針を、米国政府が発表した。
これらの企業が数十兆ウォンを投じて作った中国の工場を閉鎖しなければならないのではないかという懸念からは脱し、中国内の製造装置の維持と技術的アップグレードも一部可能になったという点で、
「最悪は免れた」とする評価が出ている。
しかし、米国が先端半導体の装置と技術について中国に対する輸出禁止措置を強化することが予想されるなど、中国リスクはまだ壁が多い。
技術が急速に発展する半導体市場の競争条件に照らすと、先端製造装置を投入できない中国現地の半導体生産ラインは「現状維持」もしくは「撤退」へと選択肢が狭まるからだ。

ー中略ー

 韓国政府と韓国内の半導体企業が直面する最大の難関は、米国の中国に対する輸出統制だ。米商務省は昨年10月、先端半導体用の製造装置を中国に輸出することを事実上禁止した。
あわせて、中国現地の生産施設を運営する第三国の企業であるサムスン電子とSKハイニックスには、この措置の適用を1年猶予している。許可期間は今年10月までであるため、追加延長が必要だ。

 この猶予措置の延長の可能性について、商務省のアラン・エステベス次官は先月、「企業が生産可能な半導体の技術水準に上限を設定する可能性が高い」と述べた。
実際、米国が半導体装置強国であるオランダや日本などと調整し、中国への輸出が禁止される先端半導体製造装置を、これまでの17基から2倍に増やす予定だと外信は報道している。

 こうした理由から、韓国内の半導体業界では、中国現地の工場の先端工程への転換などについて、不確実性は変わっていないという懸念が出ている。
匿名を求めた半導体企業関係者は、「重要な点は、現在の工程を先端工程に切り替えるにはそれに合う製造装置を持っていかなければならないが、その点は今なお解消されていない」と述べた。
産業研究院のキム・ヤンパン専門研究員は「技術のアップグレードのためには、単なる収率向上ではなく先端半導体装置の導入が重要だが、その点は今なお解決されていない」と述べた。
韓国企業にも強力な中国輸出統制が適用されるとなれば、「正面玄関を開けておき、裏口を閉じた格好」になるというのが業界の話だ。

 サムスン電子は、現在の中国の工場で128段以下のNANDメモリーを生産中だ。
SKハイニックスは144段以下のNANDメモリーを生産中で、DRAMは10ナノメートル中後半から20ナノメートル前半の製品を量産している。
現在生産中の製品は、時間がたつにつれ先端製品に追い越され需要は減らざるをえず、工程転換が必須だ。
工程転換を行わない場合、中国企業に技術力が追いつかれ、需要先を探すことが困難になりうる。
この日、フィナンシャル・タイムズは、中国政府がSMIC、華虹、ナウラ(北方華創)など選別された半導体関連企業により多くの補助金を集中する計画だと報じた。
米国の制裁を克服するために補助金をばらまき、自国の半導体サプライチェーンを強化するための措置だ。

 米商務部のガードレールは、60日間の意見取りまとめを経て確定する。韓国政府は「業界と連絡を取りあい、細部の規定内容を詳細に分析し、これをもとに米国とさらに協議を進める計画」だと明らかにした。

ハンギョレ新聞 3/25(土) 9:19配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/89981509c3922b81130e1befdd96adc01f1d3fdd