17日夕、かつてクラブだった建物。現在は閉鎖され窓の紙には「賃貸」と書かれている
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17日夕、雑踏事故が発生した路地。壁には追悼メッセージの書かれた付箋が貼られていた
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昨年10月に起きた雑踏事故の後、韓国ソウルの繁華街梨泰院イテウォンは活気が消え「ゴーストタウン」になっている?。
今月赴任の直前、そんなうわさを聞いた。2010年代後半のにぎわいを知る身としては信じ難い話だが、惨事の影響の
大きさを考えれば間違いでないようにも思える。真偽を確かめるため、今月中旬の金曜日、街を歩きながら人々に話を聞いた。
(ソウル・上野実輝彦、写真も)

◆大きな建物がいくつも閉鎖
 「こんなの梨泰院じゃないな」。午後6時ごろ、事故現場に近い目抜き通りを友人と歩いていた権丙喆クォンビョンチョルさん(48)が声を上げた。
 かつてクラブやバーだったと思われる大きな建物がいくつも閉鎖され、「賃貸」の紙が窓に貼り付けられていたり
内部に段ボールが無造作に置かれたままになっていたりする。事故後、初めて梨泰院に来たという権さんは「これほど
静かになっているとは思わなかった。寂しいなあ」。


 惨劇の現場となった細い路地には花がささげられ、追悼の言葉の書かれた無数の付箋が壁に貼られていた。
「謹んで故人の冥福をお祈りします」というハングルの他、「皆さんのことは忘れません。二度と事故が起きませんように」などの
日本語や、英語で「安らかに眠れ」と記されたものも多く、国を問わず関心の高さがうかがえる。記者も合掌し
日本語とハングルで付箋に思いをしたためた。

 梨泰院は若者が集うバーやカフェだけでなく、市場や食堂、衣料品店などがそろう総合商業地でもある。こうした店にも
影響は及んでいるようで、革靴店を営む千正洙チョンジョンスさん(54)は「客の入りは最盛期の2割くらい」とため息をつく。
 新型コロナウイルス禍で大きな経済打撃を受けた上、回復途中で雑踏事故が起きた。千さんは「まだ梨泰院で騒ぐ気持ちに
なれない人が多いのでは」と推し量る。事故直後と比べれば少しずつ客足は戻っているといい「時間が解決してくれるはず」と期待を込めた。

 午後8時を過ぎた目抜き通りでは、クラブのダンス音楽の重低音が鳴り出した。人も増え始めたが、通りを埋めるまでには
至らない。友人2人と旅行に来た大阪の大学4年生梶本玲奈さん(22)は「ドラマ『梨泰院クラス』のイメージが頭にあったので
人が少ないのは意外」と拍子抜けした様子。原作マンガの作者が経営するという飲食店「クルバム」の前で記念写真を撮る人が目立つ程度だった。

つづきはそーすで
東京新聞 2023年3月27日 12時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/240144