https://img.hani.co.kr/imgdb/japan/news/resize/2023/0601/168556898288_20230601.JPG

 昨年2月末、ウクライナ戦争が始まって以来、モスクワが初めてドローン攻撃による被害を受け、
戦争被害から一歩離れて暮らしてきたロシア市民に少なからぬ「心理的打撃」を与えた。

 米紙ニューヨーク・タイムズは30日付で、今回の攻撃が「戦争がロシアの心臓部に広がっていることを示す強力なシグナル」だとし、
この攻撃が起こした物理的被害は大きくないが、一般大衆に及ぼす「心理的余波」は小さくないと指摘した。
同日午前、ドローン8機がモスクワ都心を攻撃し、民間用住居建物3カ所の窓の一部が割れ市民2人が負傷した。
ロシア国防部はドローン5機が防空システムで撃墜し、残りの3機は電子戦システムによる撹乱に成功したと発表した。

 しかし、同攻撃でロシアが受けた衝撃は小さくないものとみられる。
ロシア極右勢力として2014年3月のクリミア半島の強制合併にも関与した元情報要員のイーゴリ・キルキン氏は30日、テレグラムに
「モスクワへのドローン攻撃による心理的打撃の強さは破壊の規模にとどまらない」とし、
「国家指導部は戦争ではなく特別軍事作戦になると約束した」と指摘した。
ウラジーミル・プーチン大統領はウクライナを全面侵攻する際、この軍事行動を自国の民間人にも被害を及ぼしかねない「戦争」ではなく、「特別軍事作戦」だと主張した。
ロシア政府を支持する軍事ブロガーのミハイル・ズビンチュク氏も100万人以上フォロワーのいるテレグラムのチャットルームで、
「モスクワの空に登場したドローンの目的が大衆にストレスを与えることならば、その目的を果たした」と書いた。

 これまでロシア市民の多くはウクライナ戦争を「遠い異国の話」と思ってきた。
戦争が15カ月目に入り、経済事情は悪化したが、モスクワやサンクトペテルブルクなどの主要都市では戦争被害を実感できるようなことが起きなかったからだ。
ロシア政府も「強いロシア」という民族主義を掲げ、今回の「特別軍事作戦」の正当性を強調してきた。

 これを意識したかのように、クレムリン(ロシア大統領府)と親政府関係者らは、今回のドローン攻撃への言及を最小限に抑え、議論の拡散を食い止めようとしている。
プーチン大統領は同日、国営メディアを通じた公開した短い動画で、ロシアの防空網がまともに作動しているとし、
「我々にはやるべきことがある。我々は何をすべきかを知っている」と述べた。
国営メディア記者でありモスクワ地域議員のアンドレイ・メドベージェフもテレグラムを通じて「ドローン150機が一気に来ても戦争や都市での暮らし、
交通、水の供給などに影響を及ぼすことはない」として市民の不安をなだめた。
与党議員のアンドレイ・グルリョフ氏は、モスクワ市民がドローンより電動スクーターに轢かれる可能性の方が高いと語った。

 同日モスクワを狙ったドローン攻撃はロシアが27日夜からイラン産ドローンを動員してウクライナの首都キーウに向かって開戦以後最大空襲を敢行した後に発生した。
ロシアはウクライナの「春の大反撃」をけん制するため、5月に入ってキーウに17回も空襲を行った。
ウクライナは今回の攻撃が自分たちの仕業ではないという立場を明らかにした。
ベルリン/ノ・ジウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

登録:2023-06-01 06:36 修正:2023-06-01 06:48
https://japan.hani.co.kr/arti/international/46898.html