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中国人によるとみられるこれらの嫌がらせ行為について、欧米メディアも詳しく報道。米CNNは、「福島からの処理水放出を受けて日本人に向けられたネット上での嫌がらせと辛辣な言葉の波により、日中間の緊張が高まり、日本政府は中国大使を呼び出すに至った」と伝えた。

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CNNは、処理水の海洋放出を開始したことを受け、「厳しく検閲されている中国のインターネットは怒りが爆発した」と報道。SNSに投稿された複数の動画は、中国人が日本の企業や事業所などに電話をして、ケータイに向かって「なぜ核汚染水を海洋に放出するのか」などと叫ぶ様子を映し出した。動画のコメント欄では日本企業などの電話番号を共有したり、ユーザー同士が互いにたたえ合っていたという。

ロイター通信は福島市役所職員の話として、市役所では24日から中国の国番号+86の電話が鳴り始め、翌日にはその件数が200を超え、電話回線がパンクし市職員の通常業務に支障をきたしたと伝えた。市内の小中学校でも25日、同様の迷惑電話が65件あったという。

電話の主の中には、「誰にとっても海である太平洋に、なぜ汚染水を放出するのか」という趣旨のコメントがあったという。他の自治体やホテル、レストランにも同様の電話がかかってきているという。

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また、中東のニュース専門局アルジャジーラ(電子版)は、「日本は24日、オリンピックプール500個分以上に相当する福島第1から出た排水を処理し、希釈した水の放出を開始した。この水は、損傷した原子炉を冷却するために使用され、現在、敷地周辺の巨大タンクに保管されている」と説明。

その上で、海洋放出については、「水素の同位体であるトリチウムを除き、全ての放射性物質が汚染水から浄化されている。トリチウムは除去が困難だが、安全基準内まで低減。トリチウムは中国を含む原子力発電所の通常運転中にも放出されている」と安全性について解説した。

さらにアルジャジーラは、福島第1原発を含む、各国の原発からのトリチウムの年間排出量を比較した棒グラムを掲載。福島第1は今後、1年間で22兆ベクレル排出する計画で、その数値はグラフで紹介された世界7か所の原発のうち最小量。これに対し、グラフが取り上げた中国・秦山原発と同・紅沿河原発からのトリチウムの年間排出量は、それぞれ143兆ベクレルと87兆ベクレルで、福島を大きく上回っていることを示した。

TNL JP編集部

https://news.yahoo.co.jp/articles/b2fd87552ffcc36916d69e1607abf7c172c8f131?page=1