ヘイトスピーチとの闘いを映画に ジャーナリスト・李信恵を追う 11月上旬に伊那市・松本市・飯田市で上映
2023/10/29 11:34

 在日コリアンへのヘイトスピーチ(憎悪表現)に対し、裁判で闘ったフリージャーナリスト李信恵(リシネ)さんを追ったドキュメンタリー映画「もっと真ん中で」(オ・ソヨン監督)が11月1~4日に伊那市で、同5日には松本市と飯田市で上映される。オ監督の友人で、県内在住の映像作家久保田桂子さんが上映を企画。「どこでも起きうる差別について問題提起した作品」とし、来場を呼びかけている。

 李さんは大阪府出身。ヘイトスピーチに批判的な記事を書いたことで、インターネット上などで激しい攻撃を受けた。2014年8月、精神的な苦痛を受けたとして、損害賠償を求めてネット掲示板運営者と在日特権を許さない市民の会(在特会)を提訴。両者への賠償命令が確定した。

 オ監督は大阪の在日社会の食文化を取材に訪れた14年、大阪市役所前でヘイトスピーチに遭遇。李さんの裁判を知り、3年余りにわたった裁判を記録した本作を昨年完成させた。オ監督は、李さんへのヘイトスピーチについて、在日コリアンと女性への差別が絡み合った「複合差別」と指摘。深刻な状況に直面しつつ「明るく乗り越えようとする李さんらの姿に学ぶことが多かった」と話す。

https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2023102900144