アナログ・テープの音の特徴のひとつに磁気ヒステリシスがあり
テープコンプとも呼ばれる音量が飽和する感じが
ソフトディストーションの心地よさを出します。
デジタル機はこれと違って、ちょっとでも入力オーバーすると
バリバリと不快な歪みを出してしまう。
このため、アナログ・テープのほうがS/N比が低いのに
音量のフォルテ感が出しやすいという特徴があります。

デジタル機器でこのようなコンプレッション効果を出すのに
よく真空管のソフトディストーションのことが言われますが
音質で影響の大きいのはトランスのほうで
個人的にはライントランスに過入力を与えたほうが
真空管の過入力歪みよりもマイルドで好ましいと思っています。

あとは旧式のフォトカプラーを使ったリミッターがあり
例えば、UNIVERSAL AUDIO LA-2Aは自然な飽和感が得られますが
もとは生音を扱うためのものなので、既に処理してある録音に対して
ダイナミックレンジまでいじる必要性は低いと思います。
稀にミニワットの真空管アンプで、小さい音が聞こえにくいなどに
有効な場合もありますが、もっと安い製品で十分です。