ここにサタニズムが入り込んでくるのです。ロック・ミュージシャンのあの異様な服装や行動は、
こういうことと無関係ではありません。ロック・グループの中には、公然とサタン礼拝を打ち出しているものもあるのです。

 1970年2月13日の金曜日にハード・ロックのブラック・サパスというグループがデビューし、
アルバム「黒い安息日」を発表して、魔術を曲の中に打ち出してきたのです。
これと同時期に、ブラック・ウイドウズというグループが「サクリファイス」(生贄)
というアルバムを発表したのですが、この頃にはドラッグと黒魔術は強く合体し、
ハード・ロックの世界に定着していったのです。

このブラック・サパスとブラック・ウイドウズはともに黒魔術を曲の中に取り入れたのですが、
前者は精神的なものとして取り入れたのに対し、後者はイメージカラー的な演出面で黒魔術を活用したのです。

 このようにして、ハードロックの世界に悪魔主義は完全に入り込み、その精神を受け継ぐ
ディープ・パープル、イーグルス、ジューダス・プリースト、シン・リジィ、スコーピオンズといったグループが
次々と誕生してきたのです。

 この1970年代を過ぎて1980年代に入ると、ハード・ロックは、ヘビー・メタルに移行していきます。
しかし、その間の一時期に「パンク・ロック」というのが流行します。 
パンク・ロックというのは、体制に反発する音楽イデオロギーのことをいうのですが
伝統の崩壊、秩序の破壊、既成社会への反抗の叫びをヒステリックに主張し、
日常の欲求不満をすべて音楽にぶつけたものをいうのです。