西洋哲学はどういったもので東洋哲学はどういったものかという感じ

そのはじめヨーロッパ人はなお、青年のような心持ちで文明建設の途上にあったがために、
彼らは肯定哲学の一面にのみ心ひかれていたが、欧州大戦の悲劇はここに互いに相争うことを知らしめ、
彼らの自負した知識が結局はただ自他を傷害することのためにのみ役だったことを知らしめた。
知識の過度の肯定は知識自体の破産であることに気づいてきた。
自然を征服するという猛々しい勇気はやがて、結局は自然に克服されていたことを感ぜせしめた。
彼らはここに、やるせない気持ちでむしろ否定の哲学に耳をかすようになり、
否定の一面あってこそ、はじめて救済が存在するのだという、
未曾有の体験を味わわしめたのである。「涅槃寂静」とは、戦いぬき疲れぬいた者の安住所である。
断食者にはまず粥から養いなおすように、ヨーロッパ民族にとっていまは一時的ではあるが否定の哲学こそが良薬となっているのである
「仏陀のおしえ」(友松圓締)

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