日本と台湾、過去の地震でも相互支援 「海を接する隣人」深まる絆

4/3(水) 18:59

 日本と台湾に国交はないが、どちらかが地震に見舞われると、もう一方が支援の手を差し伸べて、互いの絆を深めてきた。3日に発生した台湾付近を震源とする地震を受け、岸田文雄首相は自身のX(ツイッター)に「海を接する隣人である台湾の困難に際し、必要な支援を行う用意がある」と投稿。日本政府は、台湾から要請があった場合は人道的な支援に乗り出す方針だ。

 2400人以上の死者を出した1999年の台湾大地震。日本政府は地震が起きたその日のうちに国際緊急援助隊を現地に派遣した。派遣規模は当時としては過去最大規模の約110人で、各国の緊急援助隊のうち最初に現地入りしたとされる。

 一方、2011年の東日本大震災では、台湾から被災地への積極的な支援が続いた。台湾から寄せられた義援金・支援金は約250億円に上り、米国に次いで2番目に多かった。台湾大地震などの際に日本から受けた支援への「恩返し」とされる。

 16年2月の台湾南部地震の際には、菅義偉官房長官(当時)が、日本政府として復旧・復興を後押しするため、台湾赤十字に100万ドル(約1億1700万円)を拠出すると発表。一方、その約2カ月後に熊本地震が起きた際には、台湾の馬英九総統(当時)が発生翌日の4月15日に安倍晋三首相(当時)に見舞いの書簡を送った。翌16日には台湾の外交部(外務省)が日本側に義援金6400万円を贈ると発表。前日にも1000万円を寄付すると発表していたが、被害拡大を受け、馬総統の指示で大幅な増額を決めた。

 今年1月1日に起きた能登半島地震では、台湾の蔡英文総統がその日のうちに自身のXに「現地の皆さまがご無事であること、そして一日も早く日常生活を取り戻せることを願う」とのお見舞いメッセージを投稿した。上川陽子外相は同5日の記者会見で、台湾当局が義援金6000万円の寄贈を表明したと説明。台湾など各国・地域の気遣いに「政府として深く感謝している」と語った。