ATR機、小笠原就航も視野 短距離離着陸型の開発進む

仏ATRのステファノ・ボルテリCEO(最高経営責任者)は都内で11月15日、ターボプロップ(プロペラ)機ATR42-600型機を改良し、
短い滑走路で離着陸できる「ATR42-600S」について、日本の複数者と議論を進めていることを明らかにした。
将来的には、航空会社などによる東京・小笠原諸島への就航を見込む。ATRは、ATR42-600Sの開発を2017年6月に発表。
現行のATR42-600は離着陸可能な最短滑走路長が1000メートルだが、800メートル級の滑走路でも離着陸できる機体で、
短い滑走路で運用している離島路線などへ投入できる。現在、社内で開発に向けた議論を進め、
ローンチ後、およそ1年6カ月から2年をかけて納入し、合計で20-30機の受注を見込む。
ボルテリCEOはATR42-600Sの開発について、「社内で議論を進めている。発注コミットメントを獲得してから、プロジェクトを本格開始する」と、
都内で開いた説明会で述べた。現在は、日本を含めたいくつかの顧客と話し合いを進めているという。
日本では、小笠原への空港設置を検討する東京都を含めた、複数者と議論を重ねていることを明らかにした。
ボルテリCEOは「私はビジネスマン。言ってはならないとき、というのを分かっている」と述べ、具体的な社名や導入数などの明言を避けた。
同プロジェクトは「関係者から非常に注目を集めている」(ボルテリCEO)ことから、「社内での自信や確信につながっている」とした。
 小笠原諸島には現在は空港がなく、東京・竹芝桟橋から6日に1便の船舶のみで行くことができる。船便の場合、竹芝から小笠原までは24時間かかる。
ATRは、小笠原では1000メートル以下の滑走路を持つ空港が検討されていると説明。空港が開港した場合、東京からの移動時間は約2時間に短縮でき、
航空機により年間3万5000人の送客を見込む。同社でエアライン・マーケティング・マネージャーを務めるエリカ・ソメルサロ氏は、「ATR42-600Sは、
低騒音と、低い二酸化炭素(CO2)の排出量が特徴。小笠原の生態系を維持できる」と述べた
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