この映画は結構スリリングで悲劇的なラブ・ストーリーだった。何が悲劇かというと、
(原作は観てないので原作のニュアンスは別として)この映画の主人公はろくでもない
子供時代が原因で恋愛感情を持つことを怖れそれを抑圧しているために、自分は恋愛に
関心がないと思い込んでいるが、実際にはこのヒロインに恋をしている。

物語の謎はグレイがヒロインに示す態度が本物の恋愛なのかそうでないのかというとこ
ろで、その謎を追う過程がスリリングなのである。そして結末の部分で、エレベーター
のドアが締まる場面。互いの名を呼び合う二人はどう観ても愛し合っている。しかしそ
こに至ってもなお、グレイはヒロインを愛している事に気が付かない。それが悲劇なのだ。