テレ朝が幹事役で作った割りに、硬派度が足りなくて、秀作になりそうなのに、
佳作で終わったのは、脚本のツメが甘いからだ。

かつてテレ朝は、鶴橋康夫さんを演出家に迎えて、「砦なき者」というtvドラマの
傑作をモノしてるのに。
もっともそのときの脚本は、鶴橋さんとゴールデンコンビと称された、
野沢尚さんだったから、マスコミという権力を背景に仕事しながらも、
権力という虎の衣を借りる度に疲弊していった、役所公司が、そんなマスコミが生んだ
モンスター=妻夫木聡を、群集の中の一つの顔に鎮めるまでの構成が、実に緻密で、リアルで、
時に幻想的までに美しく、ソリッド。(これは鶴橋演出のおかげでもある)ぜひ見てもらいたい。

さて、「SCOOP」のハナシだが、前半の福山雅治のダーティヒーローっぷりは、
悪くない。ダーティーな上に、か弱き者も自分だけで、守りきれない、へたれ。
ここまでも
おっけー。

しかし、かれがカラダを張って守ろうとした、りりーフランキーとの見えない絆が
なんかあったんだろうなー、というフンイキだけで、圧倒的に描写不足の為に、
よわっちい、ちっぽけなヨゴレな男のタマシイの砦がなんにも、見えてこない。

テレ朝は、自分の会社が開局記念として製作した、上記の「砦なき者」を
この映画を作る前に、見返すべきでしたなーー。