「我は神なり」
宗教と欺瞞を遠慮容赦なくグリグリと描いていた韓国の社会派アニメ。
主人公が完全に応援出来ない最低のクズなんだけど、グズゆえの愚かさがあるからこそ、
良識や遠慮のある人間には暴けない宗教の欺瞞を次々と暴いてゆく構造が実に上手い。

とはいえ、宗教をインチキと否定しているわけではなく、多くの人の絶望や悲劇が神に救いを求め、
それゆえに心に悲しみを抱えてる人間にとって宗教による救いは必要であることも描き、
人が何故宗教を求めるかというテーマと真摯に向き合っている映画。


「ソウル・ステーション・パンデミック」
上記作品と同じ監督のゾンビアニメ。実写の「新感染」の前日談にあたる話らしい。
あちらが、親子の絆とかを軸にしたエンタメ寄りの作品なら、
こちらは韓国社会の歪みたいなものを描いた社会派。
社会から見捨てられた多くの人の不幸と、それを食い物にしたクズどもを、こちらも容赦なく描いている。
うーん、すごい監督だ。

上記の作品もそうだけど、映像だけ見たら日本のアニメの方が上なんだけど、
重苦しいテーマから逃げず、なおかつ映画として面白い見せるストーリーテリングは学ぶべきところがあったな。
口当たりのいい作品ばかりでなく、こういうえぐみと苦味のある作品もいい。