>>269

こういうことらしい

>Kの「基本テスト」での『青白い炎』の引用部分の試訳。こんな内容でした。

そして血の如き黒さの虚無が紡ぎだす
一つの幹細胞の内部に連結した細胞の
内部に連結した細胞の内部に連結した
細胞の組織。そして暗闇の中にあって
極端な鮮やかさで迸る、高く白い噴水。
そして引用されていない直前の部分は

愛する全てが失われ
だが大動脈は後悔を心臓に報告できず
ゴムで出来た太陽は脈動しながら沈む。

で、この「愛する全てが失われ」とは詩人(ナボコフでなく架空の人物)の娘の死を指している。かつてのVKテストの発展版なんですな。
(参考:富士川義之訳)


時に『#ブレードランナー2049』の基本テストの詩の件り、
四回目の鑑賞で漸く気が付いたのですが、最後の復唱部分は字幕では
「部屋」「連結」、実際には「Within cells interlinked=連結した細胞の内部に」、
つまり最初のナボコフの詩の再現なのね。繰り返す回数も同じ。ちゃんと訳してくれよう。

というのもこの「within cells interlinked」という言葉、Kの愛読書の引用であるだけでなく、
Kの現状と心境を端的に示している言葉でもあって、
それはピンク・フロイドの歌詞でいうなら「壁の煉瓦の一つ」、かつてなら反撥し、
抵抗すべき状況を示している訳だけど、このKにとってはそうではない。

だからこそテストでその件りを朗読させられても一切「基本(ベースライン)」から感情が揺らがない。
この映画の評論や感想で、Kについて「可哀想な人生を送っている寂しい人物」としているものが
散見されるが、実態はその逆で、Kは自らの生き方に何の不満もない事が
そこではっきり判る仕組みである。
https://twitter.com/sinkuutei/status/931699250743861249
https://twitter.com/sinkuutei/status/931700361575854081
https://twitter.com/sinkuutei/status/938058723280404480
https://twitter.com/sinkuutei/status/938060020775714816