「『シン・ゴジラ』が映画界に与えた計り知れない影響とは何か?」


 『シン・ゴジラ』は、前も言ったんですけど、僕の中では、怪獣映画としては95点、映画としては65点です。

 一般映画としては、そんなによくないですけど、怪獣映画としては極めて優れている。

 で、『新世紀エヴァンゲリオン』の続編としては120点。
 これは前回から言ったのと数字変わらないです。

 そして、影響力で考えると、はかりしれないと考えています。

 日本の映画人、プロデューサーに、今まで何が足りなかったのかっていうのを考えさせる、すごい作品だと思うからです。


 まず、もう『アベンジャーズ』が成立しないっていうのを、言ってしまってるんですよ。


 それは『エヴァンゲリオン』以降のアニメが変わってしまったのと同じ。

 『機動戦士ガンダム』が登場した時に、子供だましのロボット戦争ものが駆逐されたのと同じような現象です。

 (中略)

 なぜ『アベンジャーズ』が成立しないのか。

 アベンジャーズの最近の作品、特に『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を観ると、やっぱりちょっとおもしろくない。

 アメリカでどんなに興行成績が上がろうと、面白くないのです。

 それは『シン・ゴジラ』の逆だからです。


 冒頭で言った『シン・ゴジラ』の弱点とも言える感情移入できるキャラがいないっていうのは、逆に言えば「そんなに感情移入するキャラが必要ですか?」って問いかけにもなる。

 そんなに人間ドラマが、そんなに家族の結びつきが、そんなに自分の内面が必要ですか。

 おそらく『シン・ゴジラ』では、全く見えない牧五郎博士にだけ、内面があったんです。
 それ以外のキャラはぜんぶ表面上の動機で動いている。

 でも、それでちゃんとおもしろい映画ができてる。