偶然起きた事件で、必然的に炙り出される人間関係と、その帰結として必然的に巻き起こる事件。

東野圭吾さんの真骨頂だと思うけれども、申し訳ない気持ちを込めながら、やっぱり「容疑者Xの献身」は超えられないと思った。

レビュー・タイトルを対比としたのは、この作品の”偶然”と”必然”ではなく、実は、「容疑者Xの献身」を思い出して、比べてみようと思ったからだ。

「容疑者Xの献身」では、偶然とはいえ、最初の事件には、必然的な条件があった。

偶然、隣に住んでいた住人。

強い意志を介在して、計画、実行される事件は、警察は、偶然と必然の狭間で翻弄される。

湯川との出会いは、偶然だが、シンクロニシティのごとき必然ではないのか…。

そして、心を揺さぶる悲劇。

背景にある必然。

…というように、偶然と必然の登場や、バランスが絶妙過ぎたのだ。

だから、「容疑者Xの献身」はミステリーのカテゴリーで語るべきではないという論争まで起こっていた。

やっぱり、申し訳ないけれども、今回も及ばなかったように思う。

あと、映画作品のタイトルもいまいち。
おっさんくさい気がする(笑)