したがって、発見から10年たっても見解は変わっていない
ということだ。金子氏の本には、この本の趣旨から外れた
アンゼルムのピアノ編曲譜が同じところに存在することに
ついてのコメントはない。

ノートン版の和訳では、あやふやであった自筆譜の概観
が、金子氏の本ではっきりしたのでここで紹介しておこう。
6枚の紙を2つに折った新聞紙をイメージしていただきたい。
全体は24ページになる。
6枚の紙(バイフォリオ):
A−B−C−D−E−F
片面づつだと12枚(フォリオ):
a-b-c-d-e-f-f’-e’-d’-c’-b’-a’
1つの片面には表裏があるので2ページ:
a(1,2)−b(3,4)・・・f’(13,14)/e’(15,16)・・・a’(23,24)
f’13ページまでが第2楽章自筆譜、その裏の14ページは
第3楽章1ページ目、e’15ページは第3楽章2ページ目、
その裏の16ページから24ページまでの9ページは空白。
分離したのはf’とe’の間である。

金子本からも20年近く経つので、もし新しい研究成果が
現れていればご教示頂ければ幸いである。