http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766424997/
ショスタコーヴィチとスターリン
ソロモン・ヴォルコフ 著
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四六判/上製/560頁
初版年月日:2018/04/14

天才芸術家と独裁者の奇妙な「共犯」関係を暴きだす
ソヴィエト社会主義時代、独裁者スターリンにたいし抵抗とも
服従ともいいがたい両義的な態度をとったショスタコーヴィチ。
彼が生み出した作品もまた、時にプロパガンダ風であり、時に反体制的であるような二重性を帯びていた。

著者ヴォルコフは、ショスタコーヴィチ再評価の機運をつくった
前著『ショスタコーヴィチの証言』刊行四半世紀を経て、歴史的裏付けをとりつつ、
独自の手法により作曲家の実像にさらに迫ろうと試みている。

本書では、内面的なジレンマを抱えながらも、スターリンと直接わたりあうショスタコーヴィチを、
ロシア史上の独特の人格、聖愚者(ユロージヴィ)に見立て、
権力者との対峙の仕方を詳細に分析しているのである。

スターリンは冷酷な顔をもつと同時に、芸術を愛する独裁者でもあった。
しかし単に芸術家を庇護したわけではなく、彼らを国家的プロパガンダに利用し、弾圧した。
パステルナーク、マンデリシターム、ブルガーコフ、エイゼンシュテイン、ゴーリキー、プロコーフィエフ……
同時代の芸術家との関わりのなかで、ショスタコーヴィチは全体主義と
芸術の相克をどのように乗り越えようとしたのか、スリリングに描き出していく。