コンセルトヘボウにメンゲルベルクが果たした功績は果てしないものがあり、それが今日のコンセルトヘボウ隆盛の礎になったのは間違いない。
しかし、メンゲルベルク時代のコンセルトヘボウの特徴と、今のとでは真逆なぐらいに変容している。
ベイヌムはオーケストラの名技性はそのままに生かしつつ、そこに奥ゆかしさを注入し、ビロードの様な肌触りの微細なヘボウサウンドを確立した。大時代的な演奏は影を潜め、
楽曲に客観的であり続けるコンセルトヘボウ固有の個性を注入し、
今の時代に相応しく、愛されるべき謙虚なコンセルトヘボウサウンドを完成させ、現代に至ったのだ。
しかし、メンゲルベルクの薫陶ぶりは、過去の栄光として、誠に素晴らしいものであった。