今日の松風に行ってきた。
作品は良くできているし、
公演としてはなかなか良い公演だったと思える。

音楽のほうは、20世紀後半の頃に「前衛音楽」とか
いわれて騒がれていた時代のような音楽で、
現代の感覚からすると、ひとむかし前の作風のように感じた。
要はタケミツの少し後の時期のような感覚かな。

しかし、音楽そのものに説得力があり、
とくに松風村雨が最初に登場するときの
二重唱の美しさにはドキリとさせられた。
音楽作品としての完成度は非常に高いと思えたね。

ただねえ・・・  これは音楽とは関係ないんだが、
能楽の知識がある人間としては、けっこうつらいものがある。

舞台上にシテ、ツレ、ワキ、アイ、それに地謡という
能舞台の形式そのものの一群が出てきて
しかも木管の旋律は能管の節のようだし
打楽器のリズムは小鼓、大鼓を想起させるようだし、
とどめは歌手の歌う旋律が謡曲を想起させるような節まわしでね。

正直なところ、たとえ能楽に着想を得たとしても
そこは原型をとどめないように完全に消化してほしかったね。