シェーンベルクがマーラーの9番について語ったこの言葉好き

 彼の第九はきわめて異様です。そこでは作者は、もはやほとんど個人としては語っていません。
この作品にはマーラーを単なるスポークスマン、代弁者として利用している隠れた作者がいるに違いない、ほとんどそう思われるほどなのです。
作品を支えているのは、もはや一人称的なトーンではありません。この作品がもたらすのは、動物的なぬくもりを断念することができ、
精神的な冷気のなかで快感を覚える人間にしか見られないような種類の、美についてのいわば客観的な、ほとんど情熱を欠いた証言です。