2001-2004年に我が国の誇るナショナルオペラハウスが総力を結集し、
現役第一線級のワーグナー歌手をずらりと揃えて上演したトーキョー
リングはまさに鮮烈な体験でした。
現在30代、40代の方もたくさんご覧になられたと思いますが、聴衆の
主力は我々およびそれ以上の世代と思われます。

極東の島国である日本が、リング上演において世界に伍すための秘策
として起用した、キース・ウォーナー氏のポップな世界観にすっかり魅了
されました。
白眉は、劇場の機能を最大限に生かした、ワルキューレ第三幕における
救急病棟(生涯No.1のワルキューレの騎行!)から二回にわたる舞台の
大どんでん返しで、まさに度肝を抜かれました。

時を経て、情報センタでこの素晴らしいプロダクションをあらためて視聴
しましたが、円盤化しなかったことは本当に悔やまれます。
もっとも、ラインの黄金とワルキューレを担当した東フィルはアップアップ
でちょっと海外へ問うには力不足。対して後半のジークフリードと神々の
黄昏を担当したN響が格の違いを見せつけて、話題になったことも懐かし
いです。


以上長文をお許しください。