代わり映えしない紅白をなんとなく見終える。ゆく年くる年が始まった。
近所の寺から除夜の鐘が聞こえる。ふと興味を惹かれて外に出、向かってみる。
寺に着くと、規則正しいリズムで鐘を撞く僧侶に、それを見守る人々。
初詣のために早めに来たのだろう。
「ゴォーン、ゴォーン」心地良い音を聞いているうちに私の体の奥底で何かが目覚める。
ああ、そう、それだ。昔聞いてたラジオの合言葉。
「ゴォーン」
「ォーン」
「オーン」
「パォーン」

もう我慢できない。私は人目も気にせず夜空に叫ぶ。
「パォーン!!パォーン!!パォーン!!」
この夜、私は108回を叫び終え、満足して家路についた。