>>186
言語学には接置詞(adposition)という用語がある。
これは前置詞と後置詞をひっくるめた概念。
日本語の格助詞は後置詞で、英語の前置詞、中国語の介詞(前置詞)とともに接置詞に含まれる。
中国語文法では後置詞「的」もよく介詞に数えられるが、これも接置詞。
接置詞は「格」が分離可能な独立した形態として現れたもの。
「格」とは「名詞の述語(節の中心となる動詞)に対する関わり方」を具体的に表す形態。
この「関わり方」には動作主(例・ガ)、対象(ヲ)、受け手(ニ)、出発点(カラ)などの種類があり、
意味役割、θ役割などという。

日本語の係助詞は「意味役割」とは異なる「情報構造」という文法的な機能を担っている。
したがってこれを接置詞に入れることはできない。