「風」の中国語音feng(ファン)はビンナン語ではhong(ホン)とされるが、漢字古今音資料庫によると現代音で風をhongと発音するのは福安語だけだ。
その福安市は福州市の北約100kmのところにある市で、まさにビンドン語の地方に当たる。
富をフ音ではなく、ホ音で発音する語圏だ。
その福安地方では風をfeng(ファン)ではなくhong(ホン)と発音しており、この音韻変化は富のホ音と軌を一にするものと言える。

富をホ音で発音するのは特殊例ではなく、ごく普通の音韻構造の結果であることが分かる。
ビンナン語で福をホ音で発音したりするのは、このビンドン語の古い影響なのではないか。
ビンドン語の古い発音もずつと同じだったのだろう。