イタリア標準語において、e の広狭の区別がアクセントのある音節で意味(語義)の区別に関係してくるのは間違いないが、
さほど神経質になる必要も無いというのは当たっている

イタリア語で、アクセントのある音節に現れる狭いe は、元を辿ればラテン語の短母音i に由来する
ラテン語 fidēs : イタリア語 fede
これに対して
ラテン語 fīlius : イタリア語 figlio
なので一般にfedeの最初のeは狭く発音するのが正しいが、実はこれに異を唱えるイタリア人も相当いると思われる
何故なら、イタリア語の方言の中には(丁度スペイン語の fe のように)語中のd が摩擦音化した挙句のちに消失して、
*fee のような母音接続になり更に縮約されて広いε となった方言もあるからで、その方言の使い手にとってみれば
このe は広く発音するのが正解となるだろう

つまりイタリア人自体が自分の方言の癖で広く発音したり狭く発音したりマチマチになるので、外国人が
標準語の基礎となった中部イタリアの発音を正確に真似なくとも、前後の文脈などの助けで意味が通じなくなることはほぼ無いということ