神獣鏡といっても、製法・完成度・鈕の形・銘文などまちまちで、色んな人の手によって造られている。

●銘文をみただけで作り手が異なるという事例。
・島根県神原神社古墳出土の景初三年紀年鏡
「景初三年、陳是作鏡、自有経述、本是京師、杜地命出、吏人銘之、位至三公、母人銘之、保子宜孫、寿如金石兮」
・群馬県柴崎蟹沢古墳出土の正始元年紀年鏡
「正始元年、陳是作鏡、自有経述、木自猟師、社地命出、寿如金石、保子○○」
※正始元年鏡の銘文は、陳さんの景初三年鏡の銘文を別人が写したものだろう。
写したのはいいが、漢文を熟知していたかどうかも疑わしい。
・国分茶臼山古墳出土の三角縁神獣鏡
@「□作明竟 幽煉三剛 銅出徐州 師出洛陽 彫文刻鏤 皆作文章 配徳君子 清而旦明 
左竜右虎 転生有名 師子辟邪 集会並王父王母 游□聞□□□子孫」
A「吾作明竟〔君〕真大好 浮由〔官〕天下 □四海〔高〕用青同 至海東〔宜〕」

これらの鏡は、銘文を見ただけで作り手が違うことがわかる。
三角縁神獣鏡には色んな人の手による質の異なる作品があることを前提に議論したほうがいい。