『魏略』は、次のように伝えている。
〔弁辰の〕国々では、屋根を作るのに横に木を積み重ねて作っていて、あたかも牢獄のようである。
〔弁辰の〕国々から鉄を産出する。
韓〔族〕・?〔族〕・倭・〔族〕が、みな鉄を取っている。
どの市場の売買でもみな鉄を用いていて、〔それは〕中国で銭を用いているのと同じである。
そしてまた〔鉄を楽浪・帯方〕二郡にも供給している。
〔弁辰の〕習俗は、歌舞し飲食することを喜ぶ。
瑟(大琴)があって、その形は筑に似ている。
この瑟を弾く、また音曲がある。
子供が生まれると、石でもって子供の頭を圧す。
〔それは〕頭を狭くしたいがためである。
そのため今の辰韓人はみな狭い頭をしている。
男女〔の習俗は〕ともに倭に近く、また〔男女ともに〕文身(入墨)している。
〔戦闘では〕、歩戦が巧みで、〔用いている〕武器は馬韓と同じである。
人々の礼儀では、往来を行く者が出会った場合、すすんで相手に路を譲る。