「君は陸軍卿としてまた陸軍中将として、篠原をあくまでも踏みとどまらせることはできないのか」
出来るものではなかった。政府といい、陸軍といっても、薩長の寄合所帯にすぎず、陸軍卿山県有朋の力は篠原にとても行きとどかず、篠原はあくまで西郷に属している。
「これは政府ではない」
木戸は悲鳴をあげるように言った。