〜〜〜電波発信〜〜〜
阿波の郷土史家が、阿波が日本の本つ国であるという根拠として多用する一節です。
各国風土記のうち、天地初発より記された風土記は阿波国風土記のみ、という主張の根拠のひとつとなっています。
しかもその内容は、
 そらより降り下りたる山のおおきなるは、阿波国に降り下りたるを、
 天のもと山と云い、その山のくだけて、大和国に降り着きたるを天香具山
 というとなん申。
これをもって「大和国」は「阿波の分国」と解釈します。
〜〜〜電波終了〜〜〜

似たような記事が伊予国風土記にあります。
 天山と名づくる由は、倭に天加具山あり。
 天より天降りし時、二つに分かれて、片端は倭の国に天降り
 片端はこの土に天降りき。因りて天山と謂ふ、本なり。

ちょっと内容が違います。
おおきな山が落下 割れる 阿波=元山 大和国=天香具山
天加具山が落下  割れる 伊予=天山 倭の国=天加具山
(元山はアマノリト山とも言うらしい)

これは同じ伝承と言うことらしいのですが、伊予国の記述では倭の国が本家ですね。
銅鐸の分布や伊勢津彦の伝承などを考えても神武東遷をよしとしない一派が
四国や伊勢に逃れたのはわかります。
おそらく香具山周辺から移住してきた事を伝承しているのでしょう。
それに阿波国の方ですが大和国成立の時代は、風土記が記された時代よりも後なので、
【後世に偽装】したか、【写本を間違えたか】のどちらかですが
本来の原文には「大和国」ではなく「倭国」と記されていたはずだと言う事です。

はい、ここで【阿波が倭でない】事がわかりました。 ・・・まぁ証明する必要もないのですが(笑)
阿波と伊予の記述の違いですが写本を間違えたなどと曖昧な内容からして
伊予国風土記に軍配です。これは「倭は阿波、阿波は倭」の証拠になりません。
むしろ香具山が倭のものである事がはっきりわかるのです。