憲法無効論というのは政治論として心情的には理解できるところはあるが、

       法学的には根本的に誤っている、ということをあまり知られていない。

       何故か?

       憲法学者などの法学者が、憲法無効論をまともに相手をしていないので、

       憲法無効論者はどこが間違っているのかわかっていないからだ。

       大学院生レベルではほぼ間違わない。

       法学部生でも真剣に法学を学んでいる人なら大丈夫だが、

       まじめに勉強していなければ間違う可能性があるというレベルなので、

       
       


       学生:第二次世界大戦期、ドイツに占領されたフランスでは、

           ドイツの傀儡政権といわれるヴィシー政権が誕生し、

           ペタン憲法と呼ばれるものがつくられました。

           ところが、ドイツの敗戦により、ロンドンに亡命していたド・ゴールが

           帰還して政権を取り返し、

           ペタン憲法を無効とした事実があったと思うのですが。


       先生:ド・ゴールは、ペタン憲法を「無効」としたのではなく、「破棄」したのだよ。

           ここを混同してはいけない。

           もし、ド・ゴールがペタン憲法を無効としていたのであれば、

           ペタン憲法が存在していなかったことになるので、

           それまであった第三共和国憲法が存在していることが確認されるはずだ。

           ところが、ド・ゴールは第三共和政には戻さず、第四共和国憲法を制定し、

           国民投票により信任を受けて、第四共和政をスタートさせた。

           第四共和国憲法は、第三共和国憲法を改正したものではないので、

           違憲ではないだろうか。

           だからといって第四共和国憲法には効力がないということにはならないんだ。