【靖国神社に平和の少女像を建立せよ】の4

政府が慰安婦なら奴隷条約を適用できないとする論拠は、
HNKが2001年に放送した「戦争をどう裁くか〈2〉」の
「問われる戦時性暴力」で紹介された民間法廷による
慰安婦模擬裁判が、昭和天皇に有罪判決を下した論拠と
同じだと推測する。
両者は要するに一枚のコインの表裏の関係なのだ。

そのコインの正体は、天皇の統帥権。


たとえば第2次大戦の際、日本国は国際社会に戦争捕虜は
ジュネーブ条約を準用して対応すると宣言していた。

ただしそれは立憲日本国の権内の「軍政」捕虜の場合。

戦場で捕虜とした段階では、天皇統帥の軍の指揮官が
管理する「軍令」捕虜でしかなく、その場合は国際条約の
拘束は受けない方針としていた。
(*内海愛子『日本軍の捕虜政策』など参照)

国際条約に縛られるのは立憲「文明国」の日本国であり、
天皇統帥の軍はベツモノというわけだ。

上は絵に描いた「軍国主義」の論理だが、慰安婦制度も
これに類した解釈を用いたのではないか。

立憲日本国は「婦人及び児童の売買禁止に関する国際条約」
に批准した。けれど立憲日本国の上位にたつ天皇統帥の軍は、
このかぎりではない、という屁理屈だ。

この典型的ミリタリズムの屁理屈を、21世紀の日本政府も
踏襲したとしたら、なるほど「奴隷条約は適用できない」と
主張できそうだし、同時に決して公言したくない内容だろう。

先の女性民間法廷が「天皇は有罪」とした理由も、それで
納得できる。↓ 5へ