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野球の復活は早かったよ。


記録によれば、戦後最初のスポーツイベントは、終戦からわずか1ヵ月余りが経過したばかりの9月23日、
京都の京大グラウンドで行われた三高対関西ラグビー倶楽部によるラグビー試合である。
そして野球の戦後第一戦は、それから1ヵ月後の10月28日に神宮球場で行われた東京六大学OB紅白試合だった。

東京六大学各校が、復員したOBや現役部員をかき集めて実現にこぎつけたものだが、
午後2時試合開始にもかかわらず、早朝から野球に飢えた大観衆が詰めかけたため、
試合開始を午前11時半に繰り上げるほどの熱狂ぶり。バックネット裏には進駐軍の将兵が陣取り、
日本の野球を興味深げに観戦し、野次を飛ばしたり、スタンドにカメラを向けたりするなど、
およそ戦前には考えることもできなかった光景のもとで試合は行われた。

(富永俊治 『早慶戦百年 激闘と熱狂の記憶』 講談社、2003年)