観衆だけは本格的 お祭騒ぎの早慶野球  慶6 - 早3

昭和17年秋以来初の早慶戦はOB選手を混へた全早大全慶大の陣容で
18日午後2時から神宮球場で挙行された、内容はなんであらうと早慶戦ともなれば
大騒ぎで、朝から内野は忽ち満員、外野も七分通り埋めて4万5千という観衆

早大は一塁、慶大は三塁側にそれぞれ応援団が陣取つて昔通りの
早慶戦気分を横溢させてフアンを喜ばせる、試合は現役選手6名の
早大に対し慶大は僅か2名で他は全部OB選手であつたが、
投手白木の好投で却つて優勢を示して2回と4回に1点づつ入れる

6回には早大も奮起して二塁打単打敵失で一挙に3点を獲得したが、
慶大また8回裏に1点入れて同点となり復活第1戦から延長戦に入るといふ
道具立だけは何処までも早慶戦であつたが、結局11回裏に
慶大3本の安打と相手のエラー2つで3点をあげて6対3で慶大が勝つた

急のチーム編成でエラーも多く、ゲームの内容は昔とは
似ても似つかぬものではあつたが、その昔の名選手が多く出場し、
わがスポーツ祭ともいふべき雰囲気に観衆は大満足の態であつた

(『東京朝日新聞』 昭和20年11月19日付)




全早稲田対全慶應(昭和20年11月18日、神宮、4万5千)

  全早大 0 0 0 0 0 3 0 0 0 0 0│3
  全慶大 0 1 0 1 0 0 0 1 0 0 3│6

    全慶    全早
    -------------
    白木 投 若原
            岡本
    松永 捕 桝形
    岩本 一 笠原
            呉
    勝川 二 松井
    灰山
    宇野 三 片山
    大館 遊 蔭山
    大島 左 岡崎
    土井 中 西浦
    別当 右 高野