今は昔、馬込の翁といふ者ありけり。
馬群にまじりて、道を取りつつ、よろづのことに詰まりけり。
名をば土佐の七光となむ言ひける。

その馬の横に、まだ光る道なむ一筋ありける。
あやしがりて寄りて見るに、道の幅狭まりたり。
それを見れば、五十三寸ばかりなる人、いとたづなを引いて居たり。