「まだぼちぼちですよ。」

謙遜する戸崎騎手だがその顔から笑みがこぼれる。
先月はJRA移籍後初の騎乗キャンセル。インフルエンザに罹り、1週で復帰したものの感覚を取り戻すまでに時間がかかった。
しかし今週はまさに戸崎ウィークだった。
日曜に行われた第53回共同通信杯・G3では3番人気のダノンキングリーが断然人気のアドマイヤマーズを楽に捕らえ土を付けた。
戸崎騎手は嬉しい今年の初重賞制覇を飾った。また、順延となった今日も人気薄で2勝するなど完全復活をアピールした。

「正直、先週まではまだ病み上がりといった感じで…。それが馬にも伝わってしまい上手くコンタクトが取れませんでした。
目の前で将雅に重賞も勝たれてしまい面目丸つぶれでしたが、今週は馬と一体になれましたね。
逆にクリフトフは今週苦労していましたね。寒いのが苦手と言ってましたがそれなら騎乗を控えた方がいい。」と笑みが消え神妙に振り返る。

来週は今年初のG1・フェブラリーSが行われる。戸崎騎手は2年連続でサンライズノヴァで挑む。
根岸Sではまさかの末脚不発だったが戸崎騎手のサンライズノヴァへの信頼は揺るがない。

「前走は先ほども言ったように僕が本調子じゃなかった。馬に申し訳ない事をした。
やっとG1を目前にして本調子になったのでサンライズノヴァ共々リベンジを果たしたいですね。
菜七子ちゃんに注目が集まるでしょうけど、東京と言えば僕という事を今一度アピールしたい。やってやりますよ。」と力強く答える。

勢いが付いた戸崎騎手は止まりそうにない。やはり来週もこの男に乗るしかないようだ。