これを貼れと言われたような気がした
(一)

慰安旅行ではなく、ちょっとした親睦旅行。一泊二日。
箱根観光して、芦ノ湖に泊まって、翌日にはバスと新幹線で帰るものだった。
内炭さんは栗東で留守番。大坪は誘ってやったのに返事をよこさず欠席だったのを覚えている。

事件が起きたのは、宴会も一通り終わり、テーブルを横にどけて畳の上でTM数名が雑談をし始めたときだった。

酔うた松本憲が今は亡き中西さんに向かって、「馬なんか見ても何も分からない。これからはデータだ」などと嫌味を言い出した。
やんわりと諌めに入った山田御大に対しても、「あなたのようなやり方は関西でしか通用しない!」とか次々と暴言。
さらに、「あーた方と違い、私は将来を見据え、若手を育てている。彼は馬の見方を知っている」とペーペーの吉岡を自慢し、
「他社から誘いが来ている。独立という選択肢もある。自分は会社にしがみつくような男ではない」などと、酒の勢いとはいえ言いたい放題。

さすがに関西も若手が黙っておれず、たしか米満さんだったと思うが、1名がビール瓶を持って立ち上がった。
村上さんが止めに入った。米満さんと海士部さんが部屋を出て行った。