第3子が生まれた家庭には1000万円を支給する――。少子化が止まらない韓国で、そんな衝撃的な条例案が飛び出したことをご存知だろうか。

この条例案はソウルに近い京畿道(キョンギド)・城南(ソンナム)市の市議会で出されたもの。現行では第3子の出産に対して100万ウォン(約10万円)の奨励金を与えているが、その額を100倍の1億ウォン(約1000万円)に引き上げるという案だ。

具体的には、第3子が生まれたときに100万円を支給し、残りは第3子が3歳・5歳・7歳になった年度に200万円ずつ、そして10歳のときに300万円を支給する。城南市にずっと住む世帯だけが対象となる。

自国を“ヘル朝鮮”と揶揄する若者たちにとっては、魅力的な提案だったかもしれない。

「地球上で真っ先に消える国」との指摘も

というのも、韓国の少子化問題は深刻すぎる大問題になっているのだ。イギリスのオクスフォード人口問題研究所が「地球上で真っ先に消え去る国は韓国」と指摘しているほどでもある。

問題解決のためには、ここまで斬新な政策も必要なのかもしれない。しかし、「第3子に1億ウォン」に関連する報道が出ると、韓国国内では一気に議論が巻き起こった。「やりすぎ」「子供は宝くじか」といった批判が多かった記憶がある。

結局、城南市議会の条例改正案は多くの非難のなかで、本会議に上程すらできずに廃棄されている。

とある韓国メディアは「今は1億ウォン支援金のような本当に画期的な政策が出ない限り、少子化問題の解決が不可能な状況だ」と嘆いていたが、いくら斬新なアイディアがあっても世論の声でかき消されてしまうのが韓国の現状かもしれない。