【民族派リベラル】しょうやん【アンティファ】
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民族派リベラルてどんなのかと思ったらまたわけわからん爺さんかよ
もう引退してくれ またfuku爺chanはクソスレ立てちゃったのかよ
原住民に迷惑だからやめなさい 😎天才エンターテナーfukuchan劇場😎
体温計を汚い家の中でなくしてしまったfukuchan
テレワークもさせてもらえず出勤の度に検温することになったが、「某国製」以外の体温計がどこにも売ってない
https://livedoor.blogimg.jp/nanyade/imgs/b/2/b2d8da04.jpg
ようやく見つけたと思ったらおもちゃだった
https://livedoor.blogimg.jp/nanyade/imgs/0/4/04536d43.jpg
モノタロウで液体・半固体にぶっ刺して使うタイプの温度計を発見!無事購入!
https://livedoor.blogimg.jp/nanyade/imgs/5/2/52a58a37.jpg
https://livedoor.blogimg.jp/nanyade/imgs/4/9/4977b6af.jpg
早速脇の下にぶっ刺してみるゲル状人間のfukuchan先生
「んー、表示温度が5分以上待っても30度位までしか上がりません😰」
https://livedoor.blogimg.jp/nanyade/imgs/4/7/47e395df.jpg
見事クラスタ民からツッコミの嵐!
体を張った渾身のギャグが大受けで大満足のfukuchanであった
ちなみにfukuchan先生が購入した温度計はこちら
fukuchanみたいな馬鹿が買い占めるかもしれないので本当に仕事で必要な方はご注意を!
https://www.monotaro.com/g/04020709/ IDコロッコロfukuchan先生、必死の反応
270 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 10:31:19.60 ID:UTCxyGOP
kikiババ・アームズ・四谷のツイ廃は連休で加速するんだろうか?
奴等にとっては毎日が休みだけど、世間も休みになれば気兼ねなく廃人になれるからな
274 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 11:04:16.15 ID:UTCxyGOP
アームズやkikiババは世間のまともな企業では毎朝の検温と異常時の会社への報告が通達されたせいで体温計が手に入らなくなっている現状も知らないんだな 。
四谷に至っては「20℃でウィルスが死滅する」とかアホなこと言ってるし🤔
281 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 11:20:19.44 ID:7FLfU4CZ
腕男爺さぁ、「内線直通」って何? 😁
287 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 11:35:19.27 ID:BW7irhji
普通の会社の実態も知らんナマポ・ニートのクラスタ最強やな。
乱れた生活のせいか基礎疾患持ちが多そうやけど。
291 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 11:44:34.92 ID:qoZ0GoMM
液体・半個体用を液体までしか認識せず(普通の体温計も含めて温度センサーの形状的にソリッドな物体こ測定は無理)、温度範囲の-50℃〜を50℃〜と誤解したり、体温計が出回りだしてから買えばいいとか、アホの集団やな w
292 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 11:46:15.58 ID:qoZ0GoMM
あとウイルスは死滅ではなく不活性化って言うんやで😊 317 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 12:27:23.02 ID:NfmY0UFt
>>312
あいつらは有田・香山・ホリを弄ると、顔真っ赤にして飛んでくる
318 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 12:33:34.74 ID:6Et+5avF
>>312
結局「ミスターディグ=掘り便 」説の真相はどうなん?
本人は否定してるみたいやけど
342 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 15:37:55.46 ID:LYRdVCnP
fukuchanの体温計が手に入らない話は、自虐ネタ的なコントとして面白おかしくツイートしてるようにしか見えないな。
テレビでコメデアンがすっとぼけたり俳優が悪役を演じているのを、本人の人格そのままだと思い込んであざ笑ったり憎んで嫌がらせの手紙を送ったりするのと同様で滑稽だな。
368 名前:マンセー名無しさん :2020/04/26(日) 23:09:52.04 ID:nV5eY/wO
https://twitter.com/fukuchin6666/status/1254375354891825152
アームズおじ出品者を見てみ?
チャイニーズばっかりやで
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account)
377 名前:マンセー名無しさん :2020/04/27(月) 00:45:29.76 ID:CTFiCIPj
>>376
「カイジ」みたいに、リア充達がガイジのジタバタぶりを観察して楽しんどるんやで😊
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account) 379 名前:マンセー名無しさん :2020/04/27(月) 00:54:31.93 ID:PM3iC4Sy
アームズはいつまで40前のリーマン設定続けるの?
今時の会社員事情に疎すぎるし、時々必死に「あの事件の時は○○歳だった」みたいにアリバイ工作してるけど、普段の口調とか音楽の話題とか価値観とか思考パターンとか、昭和臭がプンプン漂ってて完全にういろうと同世代としか思えん。
あいつのイメージしているリーマン像は植木等の映画だろ w
381 名前:マンセー名無しさん :2020/04/27(月) 00:58:57.12 ID:I1cF747a
>>380
どう抵抗しようが、おまエラが徒党を組んで傍若無人な振る舞いを続ける限りこのスレは続くで😁
384 名前:マンセー名無しさん :2020/04/27(月) 01:43:42.78 ID:dwm+SEN4
>>381
それな
383 名前:マンセー名無しさん :2020/04/27(月) 01:43:09.09 ID:dwm+SEN4
汎用品で中国製でない体温計や温度計なんてまず無いだろ。これから先はベトナムやインドに取って代わるかもしれないが。
中国テンバイヤーのぼったくりから買わなきゃいいだけ。
410 名前:マンセー名無しさん :2020/04/27(月) 12:41:04.85 ID:P1pnnCGv
ういろうはフクチャンにまんまとはめられた所で梯子を外されたようやな
412 名前:マンセー名無しさん :2020/04/27(月) 12:57:45.72 ID:lhMYlPM8
企業の休暇情報も知らんし自爆テロには巻き込まれるし…クラスタは何をやってもダメやな 以上が還暦越え童貞老人のためのテンプレです
では以下より彼の妄想お人形さん遊びをご覧ください しょうやん?ああ、このジジイは頭悪いから仕方ないわ すまん、把握しきれていないため教えてくれ
草3つっていうのはどういう問題があるんだ? 答えてもらえず残念。
お呼びでないなら身を引くが、いくら政敵でも相手の病気を揶揄するのはやめた方がいいぞ。
それでは高須院長に対してパヨク連中がやったことと何も変わらない。 すぐキレるタイプだと思うが、かなり我慢してツイートしとるんかな しょうやんのアイコン、画像の持ち主に使用を断られたのに戻してないか? 217 名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ 2e50-9Ehz) sage 2020/07/17(金) 12:30:34.66 ID:5u8LL7e70
https://twitter.com/hashtag/GoTo%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E5%89%8D0717?src=hashtag_click
本日パヨクが自民党本部前に集結の模様
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account) しょうやんのタイムラインは今日も限界パヨクの見本市状態やな 299 マンセー名無しさん 2020/08/13(木) 18:03:36.48 ID:c4lU5wBE
>>292
極左からも突っ込まれる「民族派リベラル」w
https://twitter.com/KillerShark1789/status/1293784968619991040
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account) 早くも「菅は辞めろ」のハッシュタグを使っててワロタ ワイの親は厚労省やから今のままでええわ
しょうやんもいい加減まともに働いたらどうや? 先日、二回目になるが例の浮浪者の親父と川原の土手でひさしぶりに会ったんや。 2人で真っ裸になりちんぽを舐めあってからわしが持って来た、 しばらく我慢していたら2人とも腹がぐるぐると言い出して69になり わしもおっさんも我慢の限界が近づいているみたいで、 けつの穴がひくひくして来たんや。おっさんがわしのちんぽを舐めながら ああ^〜もう糞が出るう〜〜と言うまもなく、わしの顔にどば〜っと糞が流れこんできた、 それと同時にわしもおっさんの口と顔に糞を思い切りひりだしてやったよ。 体中にぬってからわしがおっさんのけつにもう一発浣腸してから 糞まみれのちんぽを押し込みながら腰を使い糞を手ですくいとり、口の中に押し込むと舐めているんや。 お互いに小便をかけあったり糞を何回もぬりあい楽しんだよ。 3人や4人で糞まみれでやりたいぜ。おっさんも糞遊びが好きみたいじゃ。 わしは163*90*53、おっさんは、165*75*60や一緒に糞まみれになりたいやつ連絡くれよ。 昨日の8月15日にいつもの浮浪者のおっさん(60歳)と先日メールくれた汚れ好きの土方のにいちゃん (45歳)とわし(53歳)の3人で県北にある川の土手の下で盛りあったぜ。 今日は明日が休みなんでコンビニで酒とつまみを買ってから滅多に人が来ない所なんで、 3人でちんぽ舐めあいながら地下足袋だけになり持って来たいちぢく浣腸を3本ずつ入れあった。 しばらくしたら、けつの穴がひくひくして来るし、糞が出口を求めて腹の中でぐるぐるしている。 浮浪者のおっさんにけつの穴をなめさせながら、兄ちゃんのけつの穴を舐めてたら、 先に兄ちゃんがわしの口に糞をドバーっと出して来た。 それと同時におっさんもわしも糞を出したんや。もう顔中、糞まみれや、 3人で出した糞を手で掬いながらお互いの体にぬりあったり、 糞まみれのちんぽを舐めあって小便で浣腸したりした。ああ〜〜たまらねえぜ。 しばらくやりまくってから又浣腸をしあうともう気が狂う程気持ちええんじゃ。 浮浪者のおっさんのけつの穴にわしのちんぽを突うずるっ込んでやると にいちゃんもおっさんの口にちんぽ突っ込んで腰をつかって居る。 糞まみれのおっさんのちんぽを掻きながら、思い切り射精したんや。 それからは、もうめちゃくちゃにおっさんと兄ちゃんの糞ちんぽを舐めあい、 糞を塗りあい、二回も男汁を出した。もう一度やりたいぜ。 やはり大勢で糞まみれになると最高やで。こんな、変態親父と糞あそびしないか。 岡山の県北であえる奴なら最高や。わしは163*90*53,おっさんは165*75*60、や 糞まみれのプレーをやりたいぜ。お互いに浣腸してから、 ちんぽを尺八しながら顔や頭から糞をかけたりかけられたりしたら最高や。 先日、二回目になるが例の浮浪者の親父と川原の土手でひさしぶりに会ったんや。 2人で真っ裸になりちんぽを舐めあってからわしが持って来た、 しばらく我慢していたら2人とも腹がぐるぐると言い出して69になり わしもおっさんも我慢の限界が近づいているみたいで、 けつの穴がひくひくして来たんや。おっさんがわしのちんぽを舐めながら ああ^〜もう糞が出るう〜〜と言うまもなく、わしの顔にどば〜っと糞が流れこんできた、 >>104
二時間おきくらいに発作起こして草生やしてたようだ
徹夜に近いな オレは禁断の森の奥、獣道で三匹の狼の様な魔物に追いかけられていた。 オレの鼓動は高鳴り、冷や汗を背中に掻き、息を切らして魔物に振り返る。 魔物は身体中から暗黒のオーラを放ち、紅く鋭い眼光に吸い込まれそうだ。 魔物は荒い息を上げて低く唸り、涎を垂らしながら、鋭い牙を覗かせ吠えて走ってくる。 舗装されてないので足元がかなり悪く、雨が降ったのか大小の水溜りが出来ている。 オレは前を向いてないので、前方不注意で盛大に水溜りを踏んだらしく、派手な水飛沫が飛び散る。 おかげでスニーカーが濡れ、靴下までも濡れて気持ち悪い。スニーカーが泥だらけだ。 おまけに水溜りを踏んだせいで、足を持っていかれ危うくこけそうになる。 嫌な予感がする。オレの頬に冷や汗が伝い、オレは顔を戻す。 腕を必死に振って走り、小さな水溜りを飛んで避け、大きな水溜りはスニーカーや靴下が濡れるのを構わず走る。 獣道の脇では、樹の影や枝の上で紅い眼が蛍の光の様に幾つも光が点滅している。 まさか、さっきの遠吠えで仲間を呼んだんじゃないだろうな。 オレの悪い予感が的中するかのように、獣道の脇、樹の影からぞろぞろと狼の様な魔物が出てきた。 どの魔物も涎を垂らし、オレに鋭い牙を向けて威嚇して吠えている。 腹が空いているのか、苛立ったように足を踏み鳴らし、今にも突進してきそうだ。 嫌な目だぜ、どいつも同じ様な面してやがる。仲間でオレを狩るつもりか? オレはまだ十一なんだぞ。こんなとこで、魔物の餌になりたくねぇ。 オレは魔物を見回しながら走り、心の中で愚痴を吐く。 その時、オレは獣道に転がっていた小石につまずき、片足が派手に上がる。 その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが右手を伸ばしてオレの胸を支えてくれる。 ネロは黒いハットを斜めに被り、整った目鼻立ちで黒縁メガネ。左耳にピアス。 服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。 ネロのハットとジャケットは砂埃で汚れ、指輪とブレスレットに小さな泥が付いている。 ネロはオレの胸からそっと手を離し、その場から一歩も動かず魔物を窺い辺りを見回している。 ネロは何やらデジタル腕時計のボタンを弄り、黒縁メガネのレンズに魔物の3D立体映像が表示された。 3D立体映像表示された魔物は回転して、何やら数秒後に黒いシルエットに変わり赤く点滅している。 オレは頭の後ろで手を組んで、ネロの様子を黙って見ていた。 オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかける。 「よせ。下手に動いて奴らを刺激するな。ミサの援護を待とう」 「わかってる。ミサはホバーボードでのんびり観光してるんじゃねぇのか? ミサを待ってられるかっ」 オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま。 魔物に警戒しながら、魔物を刺激しないように体制を低くし、慎重に動きながら辺りを見回す。 こいつら、オレが小石につまずいた隙にオレたちを囲いやがった。 オレたちを囲んだ魔物は、すぐに襲おうとはせず遠くでオラたちの様子を窺っている。 オレは後退るうちにネロの背中とぶつかり、ネロと背中合わせになる。 オレは深呼吸して落ち着きを取り戻し、姿勢を正してネロに振り向く。 「こいつらなんなんだ? アルガスタに魔物がいるなんて聞いたことねぇぞ」 オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま、ネロに訊く。 「わからない。もしかしたら、禁断の森に棲んでいる新種の魔物かもしれない」 ネロは黒縁メガネの鼻のフレームを、人差指と中指で挟んで持ち上げた。 ネロは顎に手を当てて腕を組み、魔物を観察して考え込んでいる。 ネロの黒縁メガネのレンズには、魔物の黒いシルエットが回転して赤く点滅している。 その時、ネロの左耳に装着しているインカムに、幼馴染のミサから無線が入る。 ネロのインカム越しから、ノイズ交じりで幼馴染のミサの暢気な声が聞こえる。 ミサはホバーボードで禁断の森の偵察に行ったままだったが、やっとミサから無線が入る。 オレは額に両手を当てて空を仰ぐ、ミサどこにいるんだよ。 つうか、いままでどこ行ってやがった。オレのことは無視かよ、ミサ。 腹を空かしているのか、魔物たちがジリジリとオレたちとの距離を縮める。 魔物は低く唸り、吠えたり、涎を垂らし、歯を噛んで鳴らし、仲間の首に噛みついたりじゃれている。 オレは魔物を睨み据え、斜め掛けの鞘に収めている剣の柄に手をかける。 「こうなりゃ、戦うしかねぇだろ。ネロ、策はあるか?」 「この数を相手にするつもりか? 相手にするとキリがない。こいつでまとめて片付ける」 ネロはジャケットのポケットから、銀色の小さな丸い球形を二個取り出した。 ネロは後ろに手を回して、銀色の小さな球形をオレに手渡す。 オレは首を傾げ、手を後ろに回してネロから得体の知れない銀色の小さな球形を受け取る。 オレは眉根を寄せ訝しげにネロから受け取った銀色の小さな丸い球形を両手の掌で転がす。 オレは銀色の小さな球形が転がる動きを細い目でつまらなそうに追う。 ネロが肘でオレの脇腹を小突かれて、オレはネロに振り向く。 「手前に水溜りがあるだろ? こいつで奴らを感電させる。ある程度倒せるだろ、後のことは考えてない」 ネロは手前の水溜りを睨み据え、左手をジャケットのポケットに突っ込んで銀色の小さな球形を放り投げて遊んでいる。 ネロの作戦が耳に入ってなかったオレは数秒遅れて、両手の掌で銀色の小さな球形を転がす動きが止まった。 今更ながらネロの作戦に驚き、オレは銀色の小さな球形を握り締め、そのまま拳を振り上げた。 周りを見渡せば、確かにオレたちの周りに大小の水溜りがある。 オレは握り締めた指を広げて、掌に載っている銀色の小さな球形を見つめる。 「ボクを信じろ。それとも、カイトはボクを信じられないのか?」 ネロが念を込めてオレの脇腹を小突き、ネロはカイトに意思表示する。 黙って銀色の小さな球体を握り締めて、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。 その時、ネロのインカムからノイズ交じりで緊張感のないミサの暢気な声が聞こえる。 「奴らが水溜りの上を歩いたら、そいつを投げるんだ、いいな?」 ネロはミサを無視して、黒いハットに手を載せ、銀色の小さな球形を握り締めた。 オレは緊張で唾を飲み込み、ごくりと喉を鳴らす。何故か喉が渇き、冷や汗が頬を伝う。 ネロは左手をジャケットのポケットに手を突っ込み、右手で銀色の小さな球形を握り締めて手を構えている。 後ろの敵と前の敵を気にしながら、ネロはタイミングを窺っている。 どうやら、ギリギリまで奴らを引き付けるつもりらしい。 オレは水溜りの上を歩く奴らに向かって、銀色の小さな球形を放り投げる。 銀色の小さな球形は放物線を描いて水溜りに落ちた瞬間、強烈な青白い電撃が魔物たちを巻き込んで襲い始める。 あまりの眩い光に、オレは思わず「うっ」と声を漏らす。顔の前で眩い光を手で遮り、片目を瞑る。 魔物らが水溜りの上で咆哮を上げながら、魔物の身体は黒こげになり黒煙を上げ、絶命したのかばたばたと横に倒れてゆく。 電撃を食らわなかった魔物らは、一瞬何が起こったか理解できず、首を傾げてお互い顔を見合わせる。 数秒が経ち、魔物らは仲間の死体を見つめて悲しい眼をして後退り、ぞろぞろと踵を返して樹の影に消えてゆく。 まだ諦めてないのか、樹の影で魔物の紅い目が光っているのが不気味だった。 「なんとかなったな。正直、お前の親父の発明品、馬鹿にしてたぜ」 よく変な物を発明しては、騎士団と親衛隊に役立っている。 自慢げにネロは、オレとミサに親父の発明品を見せびらかす。 秘密基地で親父の発明品を弄っては、武器を改良するのがネロの趣味とかなんとか。 お前が親父の発明品を弄る時、ミサがいつもつまらなそうにしているのがわからないのかよ。 「よせよ。お前は何も考えずに突っ走るところがある。無駄な戦いは避けたい」 「悪かったな、何も考えてなくて。今回は、お前に助けられたな」 ネロの背中越しに、魔物らが黒こげになっているのを見て、オレは口笛を吹く。 「ねぇ。こんなとこにラウル古代遺跡があるわけ? 見たとこ森が広がってるし、でっかい湖はあるし。何もないじゃない」 ネロのインカムに、ノイズ交じりでミサから無線が入る。 お前は暢気でいいよな、ミサ。オレとネロは散々な目に遭ったってのに。オレは愚痴を零す。 オレは空を仰いで額に両手をくっつけ、お気楽なミサを探す。 オレはミサを探すのを諦めて頭の後ろで手を組み、樹の影に消えてゆく魔物らを見送る。 「あいつらも諦めてくれたし、さっさとこんなとこ離れようぜ」 ネロの横を通り過ぎようとした時、ネロは手でオレを制す。 ネロは何匹か残った魔物を見回した後、自分が倒した魔物の前にいる、生き残った魔物たちを睨み据える。 オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけ、残った魔物たちを見回す。 オレたちの前から立ち去らずに残った魔物は、なんと黒こげになった魔物の死体を喰い始めた。 魔物は喧嘩しながら、魔物の死体を貪る。生々しい咀嚼音が聞こえる。 信じられない光景を目の当たりにして、オレは思わず後退る。 ネロは緊張した声音で、腰に巻いたホルスターのオートマチック銃の柄に手をかける。 ネロは余った手でジャケットのポケットに手を突っ込んだ。さっきの武器を使うのだろうか。 共食いしている一匹の魔物が貪るのを止めて顔を上げ、低く唸りながらオレたちに吠えて威嚇して見ている。 その魔物は、低く唸りながら足を踏み鳴らし、なんと姿を変え始めた。 その魔物は皮膚が解けてメタリックの骨格が露わになる。足の爪がさらに鋭くなり、背中にキャノン砲が現れた。 それぞれメタリックの骨格姿に変えた魔物の背中に様々な武器が現れる。 ミサイルランチャー、ガトリング砲、ビームキャノン砲。 姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器を発射したり撃ってくる。 ミサがオレたちの頭上で呪文を詠唱した声が聞 こえたかと思ったら、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、ふわりとオレの身体が浮き上がる。 その間に奴らの攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たるが、奴らの攻撃がジャンボシャボン玉に吸収されてゆく。 オレはジャンボシャボン玉の中でバランスを取るのに必死で、ジャンボシャボン玉の中で忙しく回転している。 回転しすぎて気分が悪くなり吐きそうになり、ロ許を手で押さえる。 ネロはジャンボシャボン玉の中でハットを押さえ、胡坐をかいてジャケットのポケットに手を突っ込んでいる。 ネロの奴、平然とパランス取りやがって、優雅に景色を堪能してやがる。 オレはジャンボシャボン玉の中でバランスをとるのに悪戦苦闘し、くるくる回ること数分が経ち、そろそろバテた頃。 オレはコツを掴み、やっとジャンボシャボン玉の中でバランスが取れる様になる。 オレは胡坐をかいて頬杖を突き、勝ち誇った様にネロを睨む。 ネロは相変わらずハットを押さえて胡坐をかき、ジャケットのポケットに手を突っ込み、眼下に広がる景色を堪能している。 オレは立ち上がり、退屈しのぎに片足を上げてよろけながらシャボン玉の内側をこぶしでたたいてみるが、金属の様な硬い音がする。 ふと下を見ると。オレの眼下で小さくなった奴らが悔しそうに攻撃を諦めてオレたちを呆然と見上げている。 オレはネロに背を向けて寝転び、耳を穿りながら眼下に広がる景色を眺めた。 広大な森が広がり、山が連なり、川が流れ、大きな湖、大きな滝、古城、遺跡がちらほら見える。 大自然がオレを呑み込み、オレは息を呑む。これが、世界か。初めて見る。 それにしても。
禁断の森の途中まで馬で来て、すく帰るつもりだったんだよな。 馬はミサの魔法でゾット帝国騎士団の馬小屋に返したのはいいけどよ。 まさか、遺跡を調べている時に魔物に襲われるとはな。 爺ちゃんの最期の冒険、ラウル古代遺跡を確かめるため、ここまで来た。 オレは今、世界を見ている。爺ちゃんが見てきた世界。 オレは爺ちゃんに貰ったクリスタルの首飾りのクリスタルを握り締める。 このクリスタルは、爺ちゃんがラウル古代遺跡で採取したらしい。 爺ちゃんが死んでから、オレはクリスタルの首飾りを肌身離さなかった。 オレたちを包んだシャボン玉は上昇気流に乗って目がくらむ高さまで上昇した後、風に任せてゆっくりと飛んでゆく。 「なんだ?」
オレは何事かと思い、音のする方に顔を向ける。 騒音とともにごっついホバーボードに乗った、幼馴染のミサがオレとネロの間に割って入る。 オレは寝返りを打って、やっと来たミサを「おせえんだよ」と呟く。 ミサは亜麻色のポニーテールでエメラルドグリ ーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。 服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。 コウモリの形をした黒いマントを羽織り、両手 に革の黒いグローブを嵌めている。 下はピンクのフレアスカートに太腿丈の黒いスパッツを穿き、膝から下は縞のニーソックス。 「もう見てられないんだから。あたしに感謝しなさいよ? ネロ、あたし大活躍でしょ!?」 ミサは鼻と喉を鳴らしてオレを一瞥した後、胸の前で手を組み上目遣いでネロにラブラブビームを送る。 ネロはミサを無視して胡坐をかき、景色を眺めながら腕を組んで顎に手を当てて何やら考え込んでいる。 「つうか、ミサ。お前、今までどこ行ってたんだよ?」 「どこでもいいでしょ? カイトには関係ないじゃない」 ミサはオレに舌を出して、両手を組んで鼻と喉を鳴らしてそっぽを向いた。 「ああ、そうかよ。お前の恋が実るといいな。どっかの誰かさんと」 オレは「やってらんねえ」と呟き、ミサに背を向けて寝返る。 景色をぼんやり眺めていると、安心感と疲労で眠気が襲い、オレは欠伸をして目を擦る。 その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。 オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。 敵の攻撃が止んだのを確かめると、オレは眠気が一気に覚め、何事かと思い慌てて飛び起きた。 オレは拳を振り上げ、ミサに食ってかかる。オレの拳が怒りで震えている。 ミサは胸の前で両手を合わせて、可愛くぺろっと舌を出した。 「ごめんっ。カイトの分だけ、手加減しちゃった。ネロは特別だからね?」 ミサはネロにウィンクして、ネロにラブラブビームを送る。 「はあ!? お前なに言ってんだよ!? ネロ、なんとか言ってやれよ!」 オレの指先が得体の知れない恐怖で震えている。手には嫌な汗を掻いている。 ネロはミサを無視して、デジタル腕時計を弄りながら、黒縁メガネのレンズでどこからミサイルランチャーが飛んできたか探索モードで必死に探っている。 「おい、ミサ! オレのだけ手加減したのかよ!? お前、それでも幼馴染かよ!?」 オレはまた力強くミサを指さす。やっぱりミサが信じられず指先が震えている。 ミサは肩を竦め不気味に微笑んで、鬱陶しそうに手をひらひらさせる。 「ネロとあたしは大丈夫だから。落ちるのはカイトね。短い間だけど、楽しかったわ」 ミサは瞼を閉じ、涙を指で拭う仕草をして、胸の前で十字を切った。 ミサに付き合いきれずに疲れて、そのまま深いため息が零れる。 「!?」
オレは一気に緊張して、驚いて顔を上げる。 オレは素早くネロを見ると、ネロの黒縁メガネのレンズに表示された3D立体地図が赤く点滅している。 その時、けたましく鳴きながら、オレたちの向こうと反対側から飛んできた二羽の大鷲。 大鷲はメタリックの骨格に眼が紅く、両翼の先端が太い筒状になっており、長い尻尾が生えている。 二羽の大鷲は回転しながらオレたちに近づき、それぞれ口を開けるとガトリングガンがあり、二羽の大鷲は口を開けたままガトリングガンを撃ってくる。 オレのジャンボシャボン玉の罅がみるみる大きくなる。 ネロを見るが、ネロのシャボン玉は攻撃を吸収して大丈夫みたいだ。 オレはミサとネロに訴える様に、シャボン玉の見えない壁を拳で叩く。 大鷲は勝ち誇ったように、両翼を真っ直ぐ前に突き出し、両翼の先端の筒からミサイルが発射された。 オレは諦めて両膝をシャボン玉の見えない床に突き、絶望に駆られ俯く。 大鷲のミサイル攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たり、攻撃音が遠くに聞こえる。 オレは両手の掌を床に突き、拳を握り締めて見えない床を叩く。 その間にも、オレのジャンボシャボン玉の罅割れが大きくなる。 瞼を閉じた。落ち着け。とにかく、考えるんだ。どうにかしないと。 その時、オレのジャンボシャボン玉は攻撃に耐えきれず、ついにガラスが割れた様に砕け散る。 「こらあああああ! カイトおおおおお! なに諦めてんのよっ! あたしがカイトを助けるんだから! 幼馴染を見捨てたりしないわよ! 今行くから待ってなさいっ!」 オレの視界に、ミサがホバーボードの後ろの二本マフラーから激しく火を噴きながら、ホバーボードのエンジン全開でオレを追いかける姿が映る。 ミサの姿を見て、オレは鼻を鳴らし喉の奥で笑う。ミサに見捨てられたかと思ったぜ。 ネロとはぐれちまったな。あいつならなんとかするだろ。 その時、ミサの背後からけたましく鳴きながら 一羽の大鷲の魔物が急降下してくる。 「ミサ! 後ろだ! あいつが追いかけてきてるぞ!」 ミサは鬱陶しそうに髪を掻き上げ、背後の魔物を無視してオレの降下スピードに追いつく。 「魔物なんかどうでもいいわ! あんたがなんとかしてよ! あたしはあんたを助けるので手一杯なんだから! カイト、手を伸ばして!」 ミサの亜麻色の前髪とポニーテールが風で靡いている。 オレもミサに手を伸ばしながら、腰のホルスターに挿したオートマチック銃の柄に手をかける。 オレは舌打ちした。やっぱ、オレがなんとかしないとな。 大鷲の魔物はミサの背後で羽ばたきながら、長い尻尾の鋭い先端をミサの背中に向ける。 こいつ、あの尻尾でミサを刺そうってか。させるかよ。 オレはミサに手を伸ばしつつ、腰のホルスターに挿したオートマック銃を抜く。 片目を瞑って大鷲の魔物に狙いを定め、オートマチック銃の引き金を引いて二三発撃つ。 三発目に撃った銃弾が大鷲の魔物の腹に命中し、銀色の粘着物が大鷲の魔物の腹にくっついた。 同時に大鷲の魔物の身体を青白い電気が包み込み、大鷲の魔物が麻痺して苦しそうに鳴きながら 逆さまに降下してゆく。 オレは青白い電気を包み込みながら降下してゆく大鷲の魔物を見下ろして口笛を吹いた。 オレはオートマチック銃を握った手で、額の汗を手の甲で拭う。 「ふう。なんとかなったな。それにしても、この銃、なんなんだ?」 帝国騎士団からくすねた銃だが、騎士団はこんなもん使っているのか。 その時、もう一羽の大鷲の魔物がお腹を向けて急降下して来た。 そして、青白い電気を包み込みながら降下していた大鷲の魔物と接触して空中爆発が起きる。 あとちょっとでオレはミサの手を掴むところだったが、爆風でオレは回転しながら吹っ飛んだ。 「うわっ」
熱気と破片が飛んできて、オレは顔の前を手で遮る。 凶器と化した破片が頬や腕、脇腹や太ももを掠めて皮膚が切れて怪我する。 オレは痛くて、「っつ」と思わず顔をしかめて声を漏らす。 「ああもう! あとちょっとだったのに! 世話が焼ける男ね! こうなったら、魔法しかないわね! ウォーターポール!」 ミサが呪文を詠唱すると、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、オレの身体がジャンボシャボン玉の中で浮き上がる。 またこの魔法か、嫌な思い出しかないぜ。オレは顔をしかめ、心で愚痴を零す。 ミサが鬱陶しそうに髪を掻き上げ、ホバーボードを飛ばしてオレのジャンボシャボン玉に近づいてくる。 「即席のウォーターボールよ。文句言わないでよ ! あたしの魔力、そんなにないんだから!」 ミサがジャンボシャボン玉の中に手を突っ込んで、オレに手を伸ばす。 「いつまで持つかわからないわよ? また落っこちたい?」と、ミサは顔をしかめて冷たく言い放つ。 自分の手を早く掴めと言わんばかりに、シャボン玉の中に突っ込んだ手の指をひらひらと動かす。 魔法が使えないオレはミサの態度に苛立ち、頭の後ろで手を組む。 オレは舌打ちしてから、一安心してため息を零し、仕方なく嫌々ミサに手を伸ばす。 オレがミサの手を掴んだ瞬間、ジャンボシャボン玉が勢いよく弾けた。 「やっと掴んだわよ。邪薩が入ったけど、まあいいわ……」 やれやれという感じで、ミサは瞼を閉じで肩を疎めて首を横に振る。 ミサは顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにオレから顔を背けた。 「べ、別にっ。ま、まあ、幼馴染だし? ネロに言われたし? それにしても、危機一髪だったわね」 ミサはオレから顔を背けたまま、額の汗を手の甲で拭う。 ミサの汗の粒が風に飛ばされて、オレの頬に張り付く。 オレは眉根を寄せてミサを睨み、俯いてため息を零す。 雲を抜け、雲の間から足元に広がる景色に息を呑んだ。 「ねえ、ネロのこと考えてるの? ネロのことなら心配ないわよ? 後で合流しようって言ってたし。それに、ネロのハイテク装備もあることだし。なにも心配することないわよ」 やっぱ、ミサはオレの幼馴染だな。オレはミサの顔を見て微笑む。 「そうか、ならいいんだ。ミサを巻き込んで悪かったな。お前、ネロと一緒に王都ガランに行くつもりだったんだろ?」 オレはミサのことはお見通しという感じで、ミサに歯を見せて笑った。 「そうよ。あんたを放って、王都ガランでネロとデートしようと思ってたのに。デート当日になって、あんたが待ち合わせ場所に来て、禁断の森に行こうとか言い出すし。ほんと信じれない。せっかくお洒落してきたのに。おかげでデートが台無しよ。まさかネロがあたしとのデートをあんたに言ったとはねぇ、迂闊だったわ」 ミサはネロが信じられないという様に、また瞼を閉じて首を横に振る。 オレは拳を握り締め、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。 ミサはデートのこと根に持ってるのか、ミサの盛大なため息が聞こえる。 そのまま、ミサと顔を合わせるのが嫌でオレは俯いたまま。 「少しはあたしの恋に協力してくれてもいいじゃない。カイトのバカッ」 その後、気まずい空気が流れ、オレとミサは黙ったままだった。 その時、ミサのホバーボードのマフラーから空 気が抜けた様な嫌な音を立てた。 ホバーボードのファンの回転が弱くなる音が聞こえる。 「ね、燃料が切れかかってる!? こんな時に! ?」 ミサがホバーボードの上でバランスを崩すと同時に、ミサは背中のマントを開き滑空する。 ミサの足からホバーボードが離れ、オレは咄嗟 に片方の手でホバーボードを掴む。 「今度は燃料が足りねえのか。災難続きだな。にしても、このホバーボード重いぞ」 オレはホバーボードを憎たらしく見つめる。機械の塊が生意気だな。 このホバーボード、何かの役に立つかも知れないからな。 マントを広げたミサは風に任せて、オレたちはゆっくりと優雅に飛んでゆく。 ミサがため息を零すのが聞こえ、オレはミサを見上げた。 お前、ため息が多いな。そんなにネロとデートが出来なかったことが悔しいのかよ。 なんかミサに悪いことしたな。今度、ミサの恋に協力してやるか。 ミサは風で髪をなびかせて、眼下に広がる景色にうっとりして堪能していた。 「あーあ。思った以上に景色が綺麗で、この子の 燃料食っちゃったなあ。反省……ごめんね、ネロ」 おいおい。お前、ホバーボードの名前がネロとか病んでるな。聞いてて寒気がする。 オレはホバーボードでミサを殴ってやろうかと思ったがやめた。 「お前が寄り道してるせいで、オレとネロは大変だったんだからな。ちったぁ反省しやがれ」 ホバーボードを掴むオレの手が怒りと重さで震えている。 「はあ、はあ....」
みるみるミサの顔色が悪くなり、ミサの額に汗が滲む。 「ごめん、カイト。あたし、魔力を消費しちゃったみたい、 後は、お願い、ね....」 ミサは気絶して身体から力が抜け、ミサが落ちてゆく。 ホバーボードを掴んでいる手を、ホバーボードを持ち上げて脇に挟み、ミサの手を両手で掴む。 「ミサっ!?」
オレは歯を食いしばって力を入れた。 ミサのパワーグローブのおかげで、ミサの体重をそんなに感じない。 幸いにも、下に大きな川が流れているのが小さく見える。 うまくいけば助かるかもな。川に落ちたとしても、川の深さがわからねえ。 オレは脇に挟んだホバーボードに目を落とし、ミサを掴む手に力を入れる。 ウォーターボールの魔力がまだ効いているのか、オレの身体は浮いていた。 ミサのパワーグローブから、ミサの魔力が伝わってくるのかもな。 くそっ。オレはホバーボードの重さに耐えられず、顔をしかめ、脇と手と額にも嫌な汗を掻いている。 ミサを掴む手が震え始め、脇を動かした隙に脇からホバーボードがするりと滑り落ちた。 重力の勢いで、風を切り裂きながら落ちてゆくホバーボード。 回転しながら落ちてゆくホバーボードに、オレはミサの手から片手を離して、ホバーボードに手を伸ばす。 オレは悔しくて歯を食いしばる。ミサ、すまねぇ。お前のホバーボードを手放しちまった。 オレはやるせなくなり、ホバーボードに伸ばし手を垂れて俯く。 諦めるのか? そんな簡単に。ミサの大事なホバーボードなのに。 ミサが好きなネロって名前のホバーボードだろ? ミサのお気に入りなんだろ? 垂れた手を握り締め。瞼を閉じて首を横に振る。いや、まだ終わってねぇ。 ホバーボードに燃料が少し残ってるはずだ。その可能性に賭ける。 どうにかして遠隔操作すれば、ホバーボードを動かせるかもしれねぇ。 小さくなってゆくホバーボードに、オレは手を伸ばす。頼む、動いてくれ。 その間にも眼下に大きな川が近づいてくる。川の流れる轟音が聞こえる。 ぐずぐずしてられねぇ。このポンコツが! さっさと動きやがれ! 今にも川に落ちそうなホバーボードを、オレは黙って睨み据える。 その時、オレの首飾りのクリスタルが眩く青白い光を放つ。 オレは思わず青白い光が眩しくて、顔の前を手で遮る。何が起こった? 眼下のホバーボードが川の水面に近づいた瞬間、ホバーボードが川の水面に浮く。 轟音とともに凄まじい水飛沫がホバーボードの周りに飛び散る。 主の声に応えるようにクリスタルが青白い光を放ちながら、オレとミサの身体がゆっくりとホバーボードに吸い寄せられてゆく。 オレはミサを抱きかかえながら、青白く光るクリスタルを掌に載せて、クリスタルをまじまじと見た。なんだ? 助かったのか? そして、オレがミサをホバーボードの上に乗せようと思った直前。 オレは禁断の森の奥、獣道で三匹の狼の様な魔物に追いかけられていた。 オレの鼓動は高鳴り、冷や汗を背中に掻き、息を切らして魔物に振り返る。 魔物は身体中から暗黒のオーラを放ち、紅く鋭い眼光に吸い込まれそうだ。 魔物は荒い息を上げて低く唸り、涎を垂らしながら、鋭い牙を覗かせ吠えて走ってくる。 舗装されてないので足元がかなり悪く、雨が降ったのか大小の水溜りが出来ている。 オレは前を向いてないので、前方不注意で盛大に水溜りを踏んだらしく、派手な水飛沫が飛び散る。 おかげでスニーカーが濡れ、靴下までも濡れて気持ち悪い。スニーカーが泥だらけだ。 おまけに水溜りを踏んだせいで、足を持っていかれ危うくこけそうになる。 嫌な予感がする。オレの頬に冷や汗が伝い、オレは顔を戻す。 腕を必死に振って走り、小さな水溜りを飛んで避け、大きな水溜りはスニーカーや靴下が濡れるのを構わず走る。 獣道の脇では、樹の影や枝の上で紅い眼が蛍の光の様に幾つも光が点滅している。 まさか、さっきの遠吠えで仲間を呼んだんじゃないだろうな。 オレの悪い予感が的中するかのように、獣道の脇、樹の影からぞろぞろと狼の様な魔物が出てきた。 どの魔物も涎を垂らし、オレに鋭い牙を向けて威嚇して吠えている。 腹が空いているのか、苛立ったように足を踏み鳴らし、今にも突進してきそうだ。 嫌な目だぜ、どいつも同じ様な面してやがる。仲間でオレを狩るつもりか? オレはまだ十一なんだぞ。こんなとこで、魔物の餌になりたくねぇ。 オレは魔物を見回しながら走り、心の中で愚痴を吐く。 その時、オレは獣道に転がっていた小石につまずき、片足が派手に上がる。 その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが右手を伸ばしてオレの胸を支えてくれる。 ネロは黒いハットを斜めに被り、整った目鼻立ちで黒縁メガネ。左耳にピアス。 服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。 ネロのハットとジャケットは砂埃で汚れ、指輪とブレスレットに小さな泥が付いている。 ネロはオレの胸からそっと手を離し、その場から一歩も動かず魔物を窺い辺りを見回している。 ネロは何やらデジタル腕時計のボタンを弄り、黒縁メガネのレンズに魔物の3D立体映像が表示された。 3D立体映像表示された魔物は回転して、何やら数秒後に黒いシルエットに変わり赤く点滅している。 オレは頭の後ろで手を組んで、ネロの様子を黙って見ていた。 オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかける。 「よせ。下手に動いて奴らを刺激するな。ミサの援護を待とう」 「わかってる。ミサはホバーボードでのんびり観光してるんじゃねぇのか? ミサを待ってられるかっ」 オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま。 魔物に警戒しながら、魔物を刺激しないように体制を低くし、慎重に動きながら辺りを見回す。 こいつら、オレが小石につまずいた隙にオレたちを囲いやがった。 オレたちを囲んだ魔物は、すぐに襲おうとはせず遠くでオラたちの様子を窺っている。 オレは後退るうちにネロの背中とぶつかり、ネロと背中合わせになる。 オレは深呼吸して落ち着きを取り戻し、姿勢を正してネロに振り向く。 「こいつらなんなんだ? アルガスタに魔物がいるなんて聞いたことねぇぞ」 オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま、ネロに訊く。 「わからない。もしかしたら、禁断の森に棲んでいる新種の魔物かもしれない」 ネロは黒縁メガネの鼻のフレームを、人差指と中指で挟んで持ち上げた。 ネロは顎に手を当てて腕を組み、魔物を観察して考え込んでいる。 ネロの黒縁メガネのレンズには、魔物の黒いシルエットが回転して赤く点滅している。 その時、ネロの左耳に装着しているインカムに、幼馴染のミサから無線が入る。 ネロのインカム越しから、ノイズ交じりで幼馴染のミサの暢気な声が聞こえる。 ミサはホバーボードで禁断の森の偵察に行ったままだったが、やっとミサから無線が入る。 オレは額に両手を当てて空を仰ぐ、ミサどこにいるんだよ。 つうか、いままでどこ行ってやがった。オレのことは無視かよ、ミサ。 腹を空かしているのか、魔物たちがジリジリとオレたちとの距離を縮める。 魔物は低く唸り、吠えたり、涎を垂らし、歯を噛んで鳴らし、仲間の首に噛みついたりじゃれている。 オレは魔物を睨み据え、斜め掛けの鞘に収めている剣の柄に手をかける。 「こうなりゃ、戦うしかねぇだろ。ネロ、策はあるか?」 「この数を相手にするつもりか? 相手にするとキリがない。こいつでまとめて片付ける」 ネロはジャケットのポケットから、銀色の小さな丸い球形を二個取り出した。 ネロは後ろに手を回して、銀色の小さな球形をオレに手渡す。 オレは首を傾げ、手を後ろに回してネロから得体の知れない銀色の小さな球形を受け取る。 オレは眉根を寄せ訝しげにネロから受け取った銀色の小さな丸い球形を両手の掌で転がす。 オレは銀色の小さな球形が転がる動きを細い目でつまらなそうに追う。 ネロが肘でオレの脇腹を小突かれて、オレはネロに振り向く。 「手前に水溜りがあるだろ? こいつで奴らを感電させる。ある程度倒せるだろ、後のことは考えてない」 ネロは手前の水溜りを睨み据え、左手をジャケットのポケットに突っ込んで銀色の小さな球形を放り投げて遊んでいる。 ネロの作戦が耳に入ってなかったオレは数秒遅れて、両手の掌で銀色の小さな球形を転がす動きが止まった。 今更ながらネロの作戦に驚き、オレは銀色の小さな球形を握り締め、そのまま拳を振り上げた。 周りを見渡せば、確かにオレたちの周りに大小の水溜りがある。 オレは握り締めた指を広げて、掌に載っている銀色の小さな球形を見つめる。 「ボクを信じろ。それとも、カイトはボクを信じられないのか?」 ネロが念を込めてオレの脇腹を小突き、ネロはカイトに意思表示する。 黙って銀色の小さな球体を握り締めて、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。 その時、ネロのインカムからノイズ交じりで緊張感のないミサの暢気な声が聞こえる。 「奴らが水溜りの上を歩いたら、そいつを投げるんだ、いいな?」 ネロはミサを無視して、黒いハットに手を載せ、銀色の小さな球形を握り締めた。 オレは緊張で唾を飲み込み、ごくりと喉を鳴らす。何故か喉が渇き、冷や汗が頬を伝う。 ネロは左手をジャケットのポケットに手を突っ込み、右手で銀色の小さな球形を握り締めて手を構えている。 後ろの敵と前の敵を気にしながら、ネロはタイミングを窺っている。 どうやら、ギリギリまで奴らを引き付けるつもりらしい。 オレは水溜りの上を歩く奴らに向かって、銀色の小さな球形を放り投げる。 銀色の小さな球形は放物線を描いて水溜りに落ちた瞬間、強烈な青白い電撃が魔物たちを巻き込んで襲い始める。 あまりの眩い光に、オレは思わず「うっ」と声を漏らす。顔の前で眩い光を手で遮り、片目を瞑る。 魔物らが水溜りの上で咆哮を上げながら、魔物の身体は黒こげになり黒煙を上げ、絶命したのかばたばたと横に倒れてゆく。 電撃を食らわなかった魔物らは、一瞬何が起こったか理解できず、首を傾げてお互い顔を見合わせる。 数秒が経ち、魔物らは仲間の死体を見つめて悲しい眼をして後退り、ぞろぞろと踵を返して樹の影に消えてゆく。 まだ諦めてないのか、樹の影で魔物の紅い目が光っているのが不気味だった。 「なんとかなったな。正直、お前の親父の発明品、馬鹿にしてたぜ」 よく変な物を発明しては、騎士団と親衛隊に役立っている。 自慢げにネロは、オレとミサに親父の発明品を見せびらかす。 秘密基地で親父の発明品を弄っては、武器を改良するのがネロの趣味とかなんとか。 お前が親父の発明品を弄る時、ミサがいつもつまらなそうにしているのがわからないのかよ。 「よせよ。お前は何も考えずに突っ走るところがある。無駄な戦いは避けたい」 「悪かったな、何も考えてなくて。今回は、お前に助けられたな」 ネロの背中越しに、魔物らが黒こげになっているのを見て、オレは口笛を吹く。 「ねぇ。こんなとこにラウル古代遺跡があるわけ? 見たとこ森が広がってるし、でっかい湖はあるし。何もないじゃない」 ネロのインカムに、ノイズ交じりでミサから無線が入る。 お前は暢気でいいよな、ミサ。オレとネロは散々な目に遭ったってのに。オレは愚痴を零す。 オレは空を仰いで額に両手をくっつけ、お気楽なミサを探す。 オレはミサを探すのを諦めて頭の後ろで手を組み、樹の影に消えてゆく魔物らを見送る。 「あいつらも諦めてくれたし、さっさとこんなとこ離れようぜ」 ネロの横を通り過ぎようとした時、ネロは手でオレを制す。 ネロは何匹か残った魔物を見回した後、自分が倒した魔物の前にいる、生き残った魔物たちを睨み据える。 オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけ、残った魔物たちを見回す。 オレたちの前から立ち去らずに残った魔物は、なんと黒こげになった魔物の死体を喰い始めた。 魔物は喧嘩しながら、魔物の死体を貪る。生々しい咀嚼音が聞こえる。 信じられない光景を目の当たりにして、オレは思わず後退る。 ネロは緊張した声音で、腰に巻いたホルスターのオートマチック銃の柄に手をかける。 ネロは余った手でジャケットのポケットに手を突っ込んだ。さっきの武器を使うのだろうか。 共食いしている一匹の魔物が貪るのを止めて顔を上げ、低く唸りながらオレたちに吠えて威嚇して見ている。 その魔物は、低く唸りながら足を踏み鳴らし、なんと姿を変え始めた。 その魔物は皮膚が解けてメタリックの骨格が露わになる。足の爪がさらに鋭くなり、背中にキャノン砲が現れた。 それぞれメタリックの骨格姿に変えた魔物の背中に様々な武器が現れる。 ミサイルランチャー、ガトリング砲、ビームキャノン砲。 姿を変えた魔物が勝ち誇った様に口許を綻ばせ、紅い目が鋭く光り、次々に背中に装備した武器を発射したり撃ってくる。 ミサがオレたちの頭上で呪文を詠唱した声が聞 こえたかと思ったら、オレの身体がジャンボシャボン玉に包まれ、ふわりとオレの身体が浮き上がる。 その間に奴らの攻撃がオレのジャンボシャボン玉に当たるが、奴らの攻撃がジャンボシャボン玉に吸収されてゆく。 オレはジャンボシャボン玉の中でバランスを取るのに必死で、ジャンボシャボン玉の中で忙しく回転している。 回転しすぎて気分が悪くなり吐きそうになり、ロ許を手で押さえる。 ネロはジャンボシャボン玉の中でハットを押さえ、胡坐をかいてジャケットのポケットに手を突っ込んでいる。 ネロの奴、平然とパランス取りやがって、優雅に景色を堪能してやがる。 オレはジャンボシャボン玉の中でバランスをとるのに悪戦苦闘し、くるくる回ること数分が経ち、そろそろバテた頃。 オレはコツを掴み、やっとジャンボシャボン玉の中でバランスが取れる様になる。 オレは胡坐をかいて頬杖を突き、勝ち誇った様にネロを睨む。 ネロは相変わらずハットを押さえて胡坐をかき、ジャケットのポケットに手を突っ込み、眼下に広がる景色を堪能している。 オレは立ち上がり、退屈しのぎに片足を上げてよろけながらシャボン玉の内側をこぶしでたたいてみるが、金属の様な硬い音がする。 ふと下を見ると。オレの眼下で小さくなった奴らが悔しそうに攻撃を諦めてオレたちを呆然と見上げている。 オレはネロに背を向けて寝転び、耳を穿りながら眼下に広がる景色を眺めた。 広大な森が広がり、山が連なり、川が流れ、大きな湖、大きな滝、古城、遺跡がちらほら見える。 大自然がオレを呑み込み、オレは息を呑む。これが、世界か。初めて見る。 それにしても。
禁断の森の途中まで馬で来て、すく帰るつもりだったんだよな。 馬はミサの魔法でゾット帝国騎士団の馬小屋に返したのはいいけどよ。 まさか、遺跡を調べている時に魔物に襲われるとはな。 爺ちゃんの最期の冒険、ラウル古代遺跡を確かめるため、ここまで来た。 オレは今、世界を見ている。爺ちゃんが見てきた世界。 オレは爺ちゃんに貰ったクリスタルの首飾りのクリスタルを握り締める。 このクリスタルは、爺ちゃんがラウル古代遺跡で採取したらしい。 爺ちゃんが死んでから、オレはクリスタルの首飾りを肌身離さなかった。 オレたちを包んだシャボン玉は上昇気流に乗って目がくらむ高さまで上昇した後、風に任せてゆっくりと飛んでゆく。 「なんだ?」
オレは何事かと思い、音のする方に顔を向ける。 騒音とともにごっついホバーボードに乗った、幼馴染のミサがオレとネロの間に割って入る。 オレは寝返りを打って、やっと来たミサを「おせえんだよ」と呟く。 ミサは亜麻色のポニーテールでエメラルドグリ ーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。 服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。 コウモリの形をした黒いマントを羽織り、両手 に革の黒いグローブを嵌めている。 下はピンクのフレアスカートに太腿丈の黒いスパッツを穿き、膝から下は縞のニーソックス。 「もう見てられないんだから。あたしに感謝しなさいよ? ネロ、あたし大活躍でしょ!?」 ミサは鼻と喉を鳴らしてオレを一瞥した後、胸の前で手を組み上目遣いでネロにラブラブビームを送る。 ネロはミサを無視して胡坐をかき、景色を眺めながら腕を組んで顎に手を当てて何やら考え込んでいる。 「つうか、ミサ。お前、今までどこ行ってたんだよ?」 「どこでもいいでしょ? カイトには関係ないじゃない」 ミサはオレに舌を出して、両手を組んで鼻と喉を鳴らしてそっぽを向いた。 「ああ、そうかよ。お前の恋が実るといいな。どっかの誰かさんと」 オレは「やってらんねえ」と呟き、ミサに背を向けて寝返る。 景色をぼんやり眺めていると、安心感と疲労で眠気が襲い、オレは欠伸をして目を擦る。 その時、どこから飛んできたミサイルランチャーがオレのジャンボシャボン玉に当たり、卵が割れる様な嫌な音を立てて罅が入る。 オレのジャンボシャボン玉にミサイルランチャーが当たる度に罅が大きくなる。 敵の攻撃が止んだのを確かめると、オレは眠気が一気に覚め、何事かと思い慌てて飛び起きた。 オレは拳を振り上げ、ミサに食ってかかる。オレの拳が怒りで震えている。 ミサは胸の前で両手を合わせて、可愛くぺろっと舌を出した。 「ごめんっ。カイトの分だけ、手加減しちゃった。ネロは特別だからね?」 ミサはネロにウィンクして、ネロにラブラブビームを送る。 「はあ!? お前なに言ってんだよ!? ネロ、なんとか言ってやれよ!」 オレの指先が得体の知れない恐怖で震えている。手には嫌な汗を掻いている。 ネロはミサを無視して、デジタル腕時計を弄りながら、黒縁メガネのレンズでどこからミサイルランチャーが飛んできたか探索モードで必死に探っている。 「おい、ミサ! オレのだけ手加減したのかよ!? お前、それでも幼馴染かよ!?」 オレはまた力強くミサを指さす。やっぱりミサが信じられず指先が震えている。 ミサは肩を竦め不気味に微笑んで、鬱陶しそうに手をひらひらさせる。 「ネロとあたしは大丈夫だから。落ちるのはカイトね。短い間だけど、楽しかったわ」 ミサは瞼を閉じ、涙を指で拭う仕草をして、胸の前で十字を切った。 ミサに付き合いきれずに疲れて、そのまま深いため息が零れる。 「!?」
オレは一気に緊張して、驚いて顔を上げる。 オレは素早くネロを見ると、ネロの黒縁メガネのレンズに表示された3D立体地図が赤く点滅している。 その時、けたましく鳴きながら、オレたちの向こうと反対側から飛んできた二羽の大鷲。 大鷲はメタリックの骨格に眼が紅く、両翼の先端が太い筒状になっており、長い尻尾が生えている。 二羽の大鷲は回転しながらオレたちに近づき、それぞれ口を開けるとガトリングガンがあり、二羽の大鷲は口を開けたままガトリングガンを撃ってくる。 オレのジャンボシャボン玉の罅がみるみる大きくなる。 ネロを見るが、ネロのシャボン玉は攻撃を吸収して大丈夫みたいだ。 オレはミサとネロに訴える様に、シャボン玉の見えない壁を拳で叩く。 大鷲は勝ち誇ったように、両翼を真っ直ぐ前に突き出し、両翼の先端の筒からミサイルが発射された。 オレは諦めて両膝をシャボン玉の見えない床に突き、絶望に駆られ俯く。 オレは禁断の森の奥、獣道で三匹の狼の様な魔物に追いかけられていた。 オレの鼓動は高鳴り、冷や汗を背中に掻き、息を切らして魔物に振り返る。 魔物は身体中から暗黒のオーラを放ち、紅く鋭い眼光に吸い込まれそうだ。 魔物は荒い息を上げて低く唸り、涎を垂らしながら、鋭い牙を覗かせ吠えて走ってくる。 舗装されてないので足元がかなり悪く、雨が降ったのか大小の水溜りが出来ている。 オレは前を向いてないので、前方不注意で盛大に水溜りを踏んだらしく、派手な水飛沫が飛び散る。 おかげでスニーカーが濡れ、靴下までも濡れて気持ち悪い。スニーカーが泥だらけだ。 おまけに水溜りを踏んだせいで、足を持っていかれ危うくこけそうになる。 嫌な予感がする。オレの頬に冷や汗が伝い、オレは顔を戻す。 腕を必死に振って走り、小さな水溜りを飛んで避け、大きな水溜りはスニーカーや靴下が濡れるのを構わず走る。 獣道の脇では、樹の影や枝の上で紅い眼が蛍の光の様に幾つも光が点滅している。 まさか、さっきの遠吠えで仲間を呼んだんじゃないだろうな。 オレの悪い予感が的中するかのように、獣道の脇、樹の影からぞろぞろと狼の様な魔物が出てきた。 どの魔物も涎を垂らし、オレに鋭い牙を向けて威嚇して吠えている。 腹が空いているのか、苛立ったように足を踏み鳴らし、今にも突進してきそうだ。 嫌な目だぜ、どいつも同じ様な面してやがる。仲間でオレを狩るつもりか? オレはまだ十一なんだぞ。こんなとこで、魔物の餌になりたくねぇ。 オレは魔物を見回しながら走り、心の中で愚痴を吐く。 その時、オレは獣道に転がっていた小石につまずき、片足が派手に上がる。 その時、オレの左隣を走っていた幼馴染のネロが右手を伸ばしてオレの胸を支えてくれる。 ネロは黒いハットを斜めに被り、整った目鼻立ちで黒縁メガネ。左耳にピアス。 服は白いシャツに黒いジャケットを羽織り、左手の小指と中指に指輪を嵌め、右手首にブレスレット。下はデニムパンツにスニーカーを履いている。 ネロのハットとジャケットは砂埃で汚れ、指輪とブレスレットに小さな泥が付いている。 ネロはオレの胸からそっと手を離し、その場から一歩も動かず魔物を窺い辺りを見回している。 ネロは何やらデジタル腕時計のボタンを弄り、黒縁メガネのレンズに魔物の3D立体映像が表示された。 3D立体映像表示された魔物は回転して、何やら数秒後に黒いシルエットに変わり赤く点滅している。 オレは頭の後ろで手を組んで、ネロの様子を黙って見ていた。 オレは舌打ちして、斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかける。 「よせ。下手に動いて奴らを刺激するな。ミサの援護を待とう」 「わかってる。ミサはホバーボードでのんびり観光してるんじゃねぇのか? ミサを待ってられるかっ」 オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま。 魔物に警戒しながら、魔物を刺激しないように体制を低くし、慎重に動きながら辺りを見回す。 こいつら、オレが小石につまずいた隙にオレたちを囲いやがった。 オレたちを囲んだ魔物は、すぐに襲おうとはせず遠くでオラたちの様子を窺っている。 オレは後退るうちにネロの背中とぶつかり、ネロと背中合わせになる。 オレは深呼吸して落ち着きを取り戻し、姿勢を正してネロに振り向く。 「こいつらなんなんだ? アルガスタに魔物がいるなんて聞いたことねぇぞ」 オレは斜め掛けの鞘に収めた剣の柄に手をかけたまま、ネロに訊く。 「わからない。もしかしたら、禁断の森に棲んでいる新種の魔物かもしれない」 ネロは黒縁メガネの鼻のフレームを、人差指と中指で挟んで持ち上げた。 ネロは顎に手を当てて腕を組み、魔物を観察して考え込んでいる。 ネロの黒縁メガネのレンズには、魔物の黒いシルエットが回転して赤く点滅している。 その時、ネロの左耳に装着しているインカムに、幼馴染のミサから無線が入る。 ネロのインカム越しから、ノイズ交じりで幼馴染のミサの暢気な声が聞こえる。 ミサはホバーボードで禁断の森の偵察に行ったままだったが、やっとミサから無線が入る。 オレは額に両手を当てて空を仰ぐ、ミサどこにいるんだよ。 つうか、いままでどこ行ってやがった。オレのことは無視かよ、ミサ。 腹を空かしているのか、魔物たちがジリジリとオレたちとの距離を縮める。 魔物は低く唸り、吠えたり、涎を垂らし、歯を噛んで鳴らし、仲間の首に噛みついたりじゃれている。 オレは魔物を睨み据え、斜め掛けの鞘に収めている剣の柄に手をかける。 「こうなりゃ、戦うしかねぇだろ。ネロ、策はあるか?」 「この数を相手にするつもりか? 相手にするとキリがない。こいつでまとめて片付ける」 ネロはジャケットのポケットから、銀色の小さな丸い球形を二個取り出した。 ネロは後ろに手を回して、銀色の小さな球形をオレに手渡す。 オレは首を傾げ、手を後ろに回してネロから得体の知れない銀色の小さな球形を受け取る。 オレは眉根を寄せ訝しげにネロから受け取った銀色の小さな丸い球形を両手の掌で転がす。 オレは銀色の小さな球形が転がる動きを細い目でつまらなそうに追う。 ネロが肘でオレの脇腹を小突かれて、オレはネロに振り向く。 「手前に水溜りがあるだろ? こいつで奴らを感電させる。ある程度倒せるだろ、後のことは考えてない」 ネロは手前の水溜りを睨み据え、左手をジャケットのポケットに突っ込んで銀色の小さな球形を放り投げて遊んでいる。 ネロの作戦が耳に入ってなかったオレは数秒遅れて、両手の掌で銀色の小さな球形を転がす動きが止まった。 今更ながらネロの作戦に驚き、オレは銀色の小さな球形を握り締め、そのまま拳を振り上げた。 周りを見渡せば、確かにオレたちの周りに大小の水溜りがある。 オレは握り締めた指を広げて、掌に載っている銀色の小さな球形を見つめる。 「ボクを信じろ。それとも、カイトはボクを信じられないのか?」 ネロが念を込めてオレの脇腹を小突き、ネロはカイトに意思表示する。 黙って銀色の小さな球体を握り締めて、俯いて瞼を閉じて首を横に振る。 ディーネは炎を吐いて火の粉が舞い、両手を地面にどすんと突いた。 間抜けなことに火の粉がディーネの翼に降って、ディーネの翼に火が点く。 ディーネは翼に点いた火を消そうと必死に翼を羽ばたかせたり、翼に振り向いて鼻息を吹いたりして暴れている。 オレはそんなディーネを見て、腰に手を当てて額に手を当て、瞼を閉じてやれやれと首を横に振る。 「なにやってんだよ。無暗に炎吐くからだろ。火事になるだろが」 このスレッドは1000を超えました。
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