母が肺炎で余命が週末まで持たないと宣告された。
「たいへんだ」とつぶやく父。
「苦労をかけた」と涙ぐむ兄。

母が「掃除機をかけたい」というと「綺麗だからいらない」と言って妨害した父は手元がおぼつかなくて食べ物を零す。
零すくせに殻付きピーナッツ大好き。リビング中ピーナッツの割れた殻だらけ。
絶対に掃除しない兄。収納付き6畳間から読んだ週刊誌が溢れてる。
通販で購入したモノの梱包材は出てった私の部屋へポーイ。
管理出来なくなった電子機器、MTGカード、粗大ゴミもポーイ。
これらも部屋から溢れて玄関を浸食。
母が「捨てて欲しい」と言っても「価値があるからダメ」と一蹴してしらんぷり。
もちろん炊事洗濯は二人とも母まかせ。ついでに会社の事務仕事も母まかせ。

動きと目が怪しくなった母はそれでも水場の掃除を頑張っていたが、食器を洗った収納が塵と埃にまみれそこに付着したカビで真っ黒。
風邪で免疫力の弱った母が倒れてしまうのはしごく当然のような気がした。

父も兄も「苦労かけた」なんて絶対思っちゃいない。
これから全部自分でやんなくちゃいけない苦労に思いを馳せて涙してるだけだと思う。