昨日は散々だった。
僕の打ち上げは失敗に終わった。
燃えさかる炎は失意の炎だった。
夕日の誓いは破られ、やがて訪れる栄冠はこの手からするりと抜け落ちたのだ。
失った物はこの手で取り替えさねばならない。
「ママ、俺はやるよ」
部屋の隅に干されたジーパンは、股間に茶色と黒で縁取られた穴が空いていた。
僕はその穴に手を何度も出したり入れたりした。

出したり 入れたり
出したり 入れたり
また
出した

ふと、頭に閃くものがあった。
すっくと立ち上がり台所へ向かう。
自分しかいない部屋でヒタヒタと自分の足音だけが響いた。
ガスコンロからホースを外し、神妙な面もちでビニールへ気体を流す。

しばらく下を向いて頭の中でシミュレーションを始めた。
立ち上がり、もう一度座り直す。
お尻の穴をきゅっと締める。そして開く。
「解放した」
迷いは確信へと変わり、勝負師の顔つきになった。
その夜、警報装置の付いていないウッさんの部屋でガス漏れが発生した。
誰も助けてくれなかった。
それから、車椅子が自分の足になった。
カタワロケットになった。