キョンシーの起源は湘西の道士が客死した屍を運ぶために使ったという死体を動かす呪術だと言われている
昔から旅先で死んだ人間は悪霊になりやすいと言われていて死体を故郷まで送り届け
身内に葬儀を行わせることで悪霊化を防げると思われていたらしい

つまり、キョンシーの起源自体は本来ヨーロッパの吸血鬼とは関係がない
が、以降キョンシーの伝説が広まるにつれて、条件によって自然発生するという話や
生きた人間から血を吸うか生気を吸うなど吸血鬼っぽい話が追加された

そこで、もともとゾンビのようなものだったキョンシーの伝説が
西洋の吸血鬼伝説の影響を受けたんじゃないかという仮説を立ててみる

キョンシー伝説の主舞台は湖北・湖南、広東・広西などの華南地方と巴蜀地方、つまり、中国の南部地域だが
既知の通り、中国の南海岸は早い時期からヨーロッパ人が来航した地域なのよね

マカオにポルトガル人が入ってきたのも明代のことで、既に広東にまで広まっていたキョンシー伝説が西洋から伝来した吸血鬼伝説と融合した可能性がある

その証拠の一つとして、清代には長い年月を経たキョンシーが?(才孔、コウ)という妖獣に変身するという伝承があるけど
そのコウというのはまるで犬のような見た目をした獣で、動く死体であるキョンシーがイヌ科の獣に化けるという話は
ヨーロッパの人狼が死んで吸血鬼になるという伝承を連想させる、この場合方向は逆だけどね