キリスト教徒の俺が初めて日本書紀と古事記(ただし天地開闢とほんの齧り程度)
の神話を読み比べたら、伝承による矛盾の大きさに仰天させられたな。
その矛盾が聖書よりも遥かに顕著というかな。古事記と日本書紀では古代の天皇
の寿命すら異なる。

天地開闢の時最初に生まれたのが国常立尊だったり可美葦芽彦舅尊だったり
天常立尊だったりと一致しない。日本書紀はなぜ原始的な神を三柱ずつ組み
にするのか謎だ。三位一体じゃあるまいし。

日の神、月の神、素戔嗚尊の誕生については、伊弉諾尊が黄泉の国から
帰って一人で目や鼻を洗って産みだした伝承が有名だが、彼らを伊弉諾尊と
伊弉冉尊の間に生れたとし、その後で伊弉冉尊が自然に消えるか、火の神を
産んで亡くなる話を持ってくる伝承もある。

皇祖神が高皇産霊尊(高御産巣日神)と天照大神の両方の立場があるというのも驚き。
二神のどちらが天上世界の最高神なのか悩むところだが、天つ神の命令を受けて国産み
・神産みを続けた伊弉諾尊が天照大神を高御産巣日神や神産巣日神のような自分の先輩
格の神々が存在する高天原の最高神に任命することじたい序列を乱すような不可解な
行為だから、やはり高皇産霊尊のほうが最高神に相応しいと思う。しかし、高天原の神々
より上位の神は存在しないはずだが、天つ神がイザナギとイザナミの国産みがうまく行かなか
ったときに占いで理由を探った辺りは本当に人間のような神だと感じた。しかし、天照大神が
最高神でいいし占いをする神様がいたっていいじゃないかと納得ができるのが日本人という人種なのだろう。

農耕文化の起源についても、保食神が天照大神の命令を受けた月読尊に殺されるパターンと、
須佐之男命がオオゲツヒメノカミを殺して神産巣日神に献上するパターンとがあったり…。

まあ、いいや。俺は神世七代の意味をほぼ理解できただけでも十分。泥の神様や生殖欲求や
女性の恐怖する気持ちを気持ちを表す神様もいるんですね。