>>419
威圧感はあったんですが、藤浪さんはまた違うんですよね。

とんでもなかった外野からの送球

 一番印象に残っている出来事は2年前に鳴尾浜で一緒に外野ノックを受けたことがあったんです。藤浪さんは調子が悪くて、外野から本塁への遠投でフォームとかをチェックしていたんだと思いますが、その送球がとんでもなくて……。一流の外野手が投げるような本当にすごい球を投げていて。目の前で「えげつな……」ってつぶやいてしまいました。江越さんとかも肩強いなと思って見ていたんですけど、次元が違いましたね。それでも、藤浪さんは首を振って納得いっていない様子だったんですけど、こちらが首を振りたくなるぐらいのボールでした。
足もめちゃくちゃ速いんです。特に短距離。ストライドも広くて、僕より全然速いですからね。ピッチャーの中でも断トツ一番じゃないですかね。

 藤浪さんと同じユニホームを着れて、学んだことは少なくありません。あれぐらいのスター選手でも、これだけ悩んで、苦しんで。でも、藤浪さんは踏ん張って、絶対にまた勝つんだという気持ちを持ってずっと練習していました。僕はそれを見てきました。この状況を変えてやるという気持ちが周囲にも伝わってきました。ああいう時間に耐えてきたからこそ、また勝てたと思いますし、素晴らしいです。

 同じ“シンタロウ”という名前で、僕はすごく嬉しかったんです。密かに、いつか甲子園で藤浪さんが投げて、僕が打って、一緒にお立ち台に上がれたら良いなと結構、本気で思ってました。それはもう叶わないですが、これからは1軍のマウンドで投げる藤浪さんを1人のファンとして応援していきます。またいつか、甲子園のスタンドから見てみたいですね。
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構成/チャリコ遠藤/抜粋