【不屈の精神】 SIONを語ろう

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/10/31(木) 00:22:51.46

2014年のアルバム「不揃いのステップ」は、ヘビイ級の名盤
ベストに入ってない歌でも、名曲はたくさん
「2番目の夢で食ってる」「磨りガラス越しのオレンジ」「足りない数ばかり数えてる」等々ー
なぜ、そんなSIONのスレがないのか?ということで、立てました
語りましょう　☆

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/03(日) 00:37:42.73

～　くたびれた足が明日も立ちあがるように
～　今日を行くだけだ　たとえ亀よりおそくとも
～　夢を見て夢に食べられ　これもまた夢か
～　投げ出さず生きている　それだけで勝ちさ
～　ボクにはね　ボクにしかね　出来ないことがあるから　なんともないよ
～　かみついたお前の牙は　もうボロボロで
～　なりたい自分はいつも　その先の角あたりで
～　誰かさんはいいなあじゃなく　これだけはやるぜ　そんな俺でいたいぜ
～　心の中は誰も大差ない　だから恐れなくていい
～　うれしいことはうれしい　はしゃげる二人でいたいな

以上は、傑作アルバム「不揃いのステップ」全10曲から
入魂の一行づつを抜粋した、10行である
心して読もう　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/04(月) 00:32:47.48

「せっかく生まれてきたからよ」というSIONの歌がある
あまりにも本音を歌っているので、この歌を声高くホメたたえた文章を、読んだことはない
が、2種類のベスト盤に収録されているのも事実で、
評価する人は、ちゃんと評価しているのだろう　
見方を変えれば、この歌こそがSIONの代表作のひとつといっても、過言ではないと思う
SIONを知らない人に、聴かせてごらん?
絶対にニヤリとほほ笑むからー　人を笑顔にできる歌なんて、そうそうありはしないぜ

せっかくよ　生まれてきたからよ
生きさしてもらうぜ　生きさしてもらうぜ
もっともっと　生きさしてもらうぜ

でっけえ家を　手にいれてみたいし
まぶしいおネエちゃんとも　お知り合いになりたい
ゼイタクな悩みに　頭をかかえたい
“まいったよ　金じゃねえな”って

せっかくよ　生まれてきたからよ
せっかくよ　生んでもらったからよ

この35才過ぎの男が、生んでもらったからよと、つぶやくところがイイw
SIONもライブでこの歌を封印していないで
バンバン歌えばいいと思う
大合唱間違いナシだ
カラオケにも入っていないのは、何故だ ?
これこそが、真の名曲也

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/05(火) 01:08:48.24

2008年47才の時のSIONの歌で「光へ」という歌がある
焼け死んでしまうかもしれないのに、光源に向かう夏の虫たちは
飛んで火に入る夏の虫という、ことわざどおり
人間も含めて、すべての生きとし生けるものたちは、光の中から生まれてきたから
ひょっとしてそれは帰り道なのかもしれないね、とSIONは歌う
光あるうちに光の中を歩めという、聖書の文言をも
題材としているのかもしれない
そしてサビではこう歌う

昨日もダメで　今日もダメだった
だから明日　できるかもしれないぜ

焼け死んでしまうかもしれないのにな
そこへ走ることを終わりにできない　　昨日も今日も

光の中から生まれ、光をめざして生きる、すべての生き物に対する、生命讃歌だ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/06(水) 00:34:10.43

金のためには　オレは動かない
言ったアイツは　大金持ちだった
時間をムダにするな　好きなことだけやれ
言ったアイツは　働かなくても食えた

そりゃいいや　カッコいいや
そりゃいいや　笑わせんな
オレは　2番目の夢で食ってる

このイカした歌をはじめて聴いた時、ぜひこの歌のキヨシローバージョンを聴いてみたいと思ったものだ
忌野清志郎氏はすでにこの世にいなくて、そのことはもう無理だけれど
チャボとキヨシローのような絶妙なからみを見せられるのは
今やこの日本で、SIONと藤井一彦氏のみと、思われる
貴重な存在だ

さて、この「2番目の夢で食ってる」という名曲で歌われている
SIONの2番目の夢とは、なんなのだろうか ?
私はこう考えた
①番目の夢＝誰もが知ってる大ヒット曲をもつ、シンガーソングライター
②番目の夢＝大ヒット曲がなくとも、そこそこ食べていける、シンカーソングライター

SIONなら、これからの高齢化社会、60才を過ぎてからでも、大ヒット曲を生み出せる
可能性も、なきにしもあらずだ
はじめたら、いつだってはじまりさ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/07(木) 01:19:45.33

「バラ色の夢にひたる」という歌がある
SIONは、簡単、平易、平明な単語をつむいで
今までに、ありそうでなかったような、素敵な歌のタイトルをつくる
名人でもある
このスレの>>4を、じっくりと見てみてくれ　それが分かるはずだ

「バラ色」のなんとかかんとかとかいうタイトルの歌は、数多く存在するが
「バラ色の夢にひたる」というものは、存在しなかった
名人の包丁さばき、アッパレである
歌詞もメロディーもいい

雨もあがったし　仕事も終わった
疲れたはずなのに　急に元気が出るのさ
働いた分だけ　とかれた時の
この羽がはえる感じが　たまらなくいいのさ

そして主人公は帰宅を急ぐ人混みの中を一緒に歩きながら
ふと見あげたビルの向こうの、輝く月に感動する

ある日テレビで仕事を　きかれた老人は答えた
俺の仕事は　音楽と人生を楽しむことだ

そうだよな　それでいいんだよな
そうだよな　　そうでなくっちゃなー

全く、SIONさんのおっしゃるその通り　　　それでいいんですよ !　

そして最後に、キラーワードが炸裂して
この名曲は幕をとじる

“悲しみを　歌でいやして
　喜びを　歌でふやして
　バラ色の　夢にひたるー !”

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/08(金) 00:45:34.03

「ボロ列車」という、イカした歌がある
イカれた歌かもしれない　　出だしはこうだ

頭の中　ひとつずつ
取りだして　冷たい水で
洗いたい　しっかりと
キレイに　冷たい水で

頭の中の部品をひとつずつ取りだして
冷たい水で洗えたら　どんなにいいだろう ?
どんなに気持ちいいことだろうか?

今夜動き出せ　ボロ列車
古いのは　走りすぎたせいじゃない
今夜走りだせ　ボロ列車
速さだけじゃない　走りをみせてやれ

自身をポンコツ頭と揶揄(やゆ)して、ボロ列車と命名して
叱咤激励している
イカした歌と、イカれた歌の違いは一文字だけだ
高齢化社会の現在の日本では
みんながみんな、ボロ列車化してるともいえる
今の時代にこそ、聴いてほしいナンバーだ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/09(土) 00:39:06.95

「早く帰りたい」という歌がある
SIONの哀切な歌ベスト5を選ぶとしたら、必ず入るであろうナンバーでもある
ピアノとヴィオラとチェロとバイオリンが
SIONの泣かせる歌詞にからんで
後半、奇跡のようなうねりを見せてくる
一発録音にしろ、多重録音にしろ、このような奇跡が真空パックされる場合が
ままにあるのだ

今日はもうヘトヘトだ　早く帰って眠りたい
少ししゃべりすぎたし　はしゃぎすぎたし　疲れた

この時31才のSIONの声のしゃがれぐあいは、ロッドスチュワートの一歩手前というくらいで
いい具合に発酵(はっこう)して、哀切度を増している

お前がいたらいいけど　今夜ひとりのほうがよさそうだ

昨日泣きながら、グチをこぼしていた彼女も
10年前、ラッシュアワーの電車に嫌気がさして会社をやめたアイツも
孤独を欲する今夜のSIONの、思い出に現れるだけだ
こんな日の寄り道には、ろくなことがないとも歌われている
ひとりぼっちを愛する人々に捧げられた
魔法のような歌に聴こえる

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/10(日) 00:53:27.33

「水色のクレヨン」という歌がある　
SIONが54才の時のアルバムに、収録されて発表された
かってSIONは、どこかのインタビューでこんなことを言っていた
後輩のソングライターが、SIONにこう質問したという
書きたい歌がないんですよ、何を歌っていいか分からないんですよ
SIONは、こう答えたそうだ
オレならその、書きたい歌がない、何を歌っていいか分からないってことを
すぐに歌にして歌うよ
アッパレ
SIONはこの軽妙な「水色のクレヨン」という歌で、そのことを歌にしてみせたのだ

あれは夏休み　　真っ白な画用紙
12色のクレヨンも　あるけど
描きたいものがない
空だって　　山だってあるのに
描きたいものがない
水色のクレヨンで　
水色のクレヨンの絵を描いた
水色の

目の前に美しい空だって山だって海だってあるのに
主人公は
水色のクレヨンで、水色のクレヨンの絵を描いたそうだ

そしてSIONは、もう一歩ふみこむ
悲しみと喜びについての考察についても
この歌ので語るのだ

アナタも水色のクレヨンで、
その水色のクレヨンの絵を描いてみれば
この主人公の気持ちに、近づけると思う

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/10(日) 00:57:12.17

>>12

×　この歌ので語るのだ

〇　この歌の中で語るのだ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/11(月) 01:10:45.03

「人様」という歌がある
「水色のクレヨン」で、どんなことでも歌にしてみせると実践してみせたSIONが
ここでは歌にできない、したくないことが多すぎると歌っている

歌にも出来ないことが続いてる
歌にはしたくないことは　終わらない

今も昔も　自分勝手な
人様がしでかすよ　この空の下

この時期SIONは、ほぼ30年間つれそった相方のギタリスト松田文氏と別れている
所属していた事務所も、閉鎖された
人様とは、自分のことを指しているのか?

心足りない　力足りない
足りてるのは　多いのは　みにくいジェラシー

そしてこの考えさせられて、胸にしみいるこの歌は
次の言葉で、しめくくられる

誰かといた時間と　同じ時間だけ
ひとりの時間が　なくちゃ
もたないのは、俺だけか ?

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/12(火) 00:41:58.91

「月が一番近づいた夜」という歌がある
その夜、あらゆるところで奇跡が起こるのだ
順を追って整理してみよう

①何もしゃべれなかった男の子が、突然ママに奇麗だねって言う
②ずっと車椅子の女性が、突然立ちあがり下着を替える
③何も聞いたことのない女の子が、突然パパに静かだねって言う
④ハシさえ持てなかった男が、突然彼女を抱きしめる
⑤出稼ぎにいったまま蒸発していた父ちゃんが、突然お土産いっぱい持って帰宅する
⑥臨終の母さんの横で、奇跡だと医者がうなる
⑦何も見たことがなかった男の子が、思ったとおりだと、おじいちゃんに言う
⑧ずっと寝たきりだったパパが、起きあがる
⑨おばあちゃんのアカギレが、突然なおる
⑩俺のそばで死んだあいつが、のんきにあくびをしている

まあ、月が一番近づいた夜には、色々なことがあるということだ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/13(水) 00:21:51.49

「猿」という歌がある　SION39才の作品である

なんでも出来ると思ったのは　なんにもしてない時だった
猿みたいな顔で生まれて　猿みたいな顔で死んでゆく
なんでも出来ると思ったのは　なんにもしてない時だった
肩を怒らせ　ニラミをきかして　何か怖いものでもあるのかよ ?

また誰かを
憎んだり　うらんだり　やっかんだり　なおらない

なんでも出来ると思ったのは　なんにもしてない時だった
↑
この一説は、なかなかに滋味があり、うんちくがある

ギターなんてちょろいよ
簡単に弾けるもんだろ ?
いざギターを買って弾いてみると
全然カンタンに弾けるものじゃない
そのような体験は、誰にもあるはず
そのようなアナタに捧げよう

なんでも出来ると思ったのは　なんにもしてない時だった !

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/14(木) 00:33:53.11

「あまった優しさ」という歌がある　名曲である

主人公はすでに彼女と別れていて
ひどく後悔している
自己愛が強すぎた主人公は
彼女とつきあっていた間
自分のことばかりを愛していて
その、あまった優しさだけで
彼女を愛していたと言う

離れてみて　やっと分かる
こんなふうに　思い知るのさ
いつものお前の笑顔が
なにげないお前のしぐさが
そう　どんなに大きかったか
そう　どんなに奇麗だったか

いつからだろう　どこからだろう
あまった優しさで　間に合わせたのは

馬鹿な節穴がひとり
今さら　お前を思う

そしてラスト
主人公は彼女にすがる
もしも今でも
間に合うなら
君の今のあまった優しさだけでもいいから
俺に与えてくれないかとー

主客が転倒するのだ
あまった優しさしか、与えていなかった男が
今や、別れた彼女のあまった優しさだけでもいいから
欲しいとー

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/15(金) 01:13:18.41

「バス」という歌がある　禅問答のような歌詞だ

人が好きで　人が嫌いで
ひとりが好きで　ひとりはイヤで
気にしてほしくて　ほっといてほしくて
お前が　分からない

なにをやっても　うまくいく奴がいる
きっと木の上から　魚だってとれる
そしてオレときたら　腰まで水の中
穴のあいた網を　ふりまわしてる

生きてるものは　寝るからおかしい
死ぬから　悲しい

バスというタイトルが出てくる部分は
“行き先のないバスは　行くところがない”という箇所だ

ラストに近い部分て゛、次のような歌詞が歌われる

初めてのように　毎年寒い
刺さる風が吹く　靖国通りで
「どうでもいいぜ」って　顔をした男から
12枚の　来年を買う

「どうでもいいぜ」って顔をした男から、カレンダーでも買ったのだろうか ?
12枚つづりの、大麻を巻く紙でも、買ったのだろうか ?

どこか、カフカ的でもある

　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/16(土) 01:36:19.06

「不揃いのステップ」という歌がある

今夜　二人の自分が　ぎこちなく踊る
今夜　二人のオレが　不揃いのステップで

主人公は、ドッペルゲンガーのような、もうひとりのオレを容認している
そのもうひとりの自分とは
ロックしていない自分であり
普通の小市民の生活にあこがれている自分である

そのロックしていない自分と
好きなように生きて、ロックしている自分とが
深層心理の闇の底で
対面で踊っているわけだから
ステップが、合わないわけである　

歌の出だしは、こうだ

絵に描いたような幸せに　背をむけてきたくせに
いつもどこかでその場所に　あこがれるオレがいた
そんなものはどこにもないと　描いては消して

どんなにまぜても　まざらない色ちがいの心が
ひとつの体で鼓動する　すれすれの距離で
喜びと悲しみの　紙ひとえを脈打つ

↑
この部分などは、およそ凡人の頭からは出てこない、至宝の歌詞である

危うさを身にまとい　誰もが綱渡りさ
壊れないものがあるだろうか ?
壊れても　壊れないものがー

そして、必殺の一行の登場である

『夢を見て　夢に食べられ　これもまた夢か?』

2番でサラリと、大富豪と結婚した美女の孤独と、その内面の分裂を歌っているが
それもまた、彼女のドッペルゲンガー

誰もが、内面に持つもうひとりの自分と、
不揃いのステップを踏んで、ダンスをしている
それのすべてが、夢じゃないのか?

この歌は、それを歌っているのである

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/17(日) 00:32:26.22

「だからこんな俺がきらいだ」という歌がある

ここでSIONは、“俺がきらいだ”というオブラートにくるんで
“こんな人間がきらいなんだ”ということを、羅列してるように思う
たぶんそうだろう
以下、順番どおりに記してみる

①何もないくせに、ヒゲをはやしてる奴
②何もないくせに、世の中分かったようなクチをきく奴
③好きで気をつかって、よけい気をつかわせる奴
④わざとタメ息なんかついて、疲れをアピールする奴
⑤いいかげんなことばかり、しゃべりまくる奴
⑥陰でシクシクふるえてるくせに、表ではなんでも笑いとばす奴
⑦話は全部、自分のことばかりの奴

以上、だいたいこの七個が歌われていて
サビの終わりで、痛烈なキメ言葉が炸裂する

分かってんのか?　　
やさしいってことは、機嫌のイイこととは違うぜ !

誠実に生きていきたいなら、常にこの七個をそらんじ、肝(きも)に銘じておくべきだろう

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/18(月) 00:24:49.87

1992年、SIONが32才の時に発売されたアルバム『蛍(ほたる)』は名盤である
ニールヤングでいえば「ハーベスト」、ポールサイモンでいえば「時の流れに」、
キャロルキングでいえば「つづれ織り」に位置するアルバムである
ロック色は薄く、ほぼ全編フォーキーカントリー調で占められている

その1曲目で、アルバムタイトルでもある「蛍」の歌詞を見てみよう

ホタルを見るなら　あの町が一番さ
小さな川には　いくつも橋がかかってよ
ひっそりと　そしてあったかい
その川のまわりには　いろんな店がポツポツと
飲み屋やら　メシ屋やら
それがまた　うまくてよ

ひっそりと　そしてあったかい
一の坂川へ　お前をつれて
一の坂川へ　つれて帰る

小さな町だし　何もない町だけど
2,3年いただけで　どうってことない町だけど
なぜかやたら　やたらいいさ
もう何年も十何年も　そこを歩いてないけど
毎年そのホタルは　どんどんふえてく
なぜかやたら　やたらいいさ　

ひっそりと　そしてあったかい
一の坂川へ　お前をつれて
一の坂川へ　つれて帰る

歌詞を読んだだけで伝わる、この抒情性はどうだろう?
主人公は、新婚の嫁さんを
昔自分が住んで、好きだった町につれて帰る
それだけの歌なのにね

SIONをまったく知らないそこのアナタ
だまされたと思って、秋の夜長にこの『蛍』というアルバムを聴いてごらん
しみるぜ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/19(火) 03:33:51.55

「彼女少々疲れぎみ」という歌がある
1994年、SION34才の時に発売された「10＋1」というアルバムの1曲目である
このアルバムはドラムレス、つまりドラムなしのアルバムであり
すぐそこでSIONがアコギをかかえて歌っているという感じの、
全編フォーキーで、あたたかいアルバムである

SIONはデビュー時の鮮烈なインパクトある風貌で、かなり損をしている
SIONといえば、あのトゲトゲ頭で、ボヘミアンのようなカッコをした人でしょ?
オレああいう人ダメ、苦手、かんべんしてください、ききたくないって人が
30年以上過ぎた今でもいるのだから、なにをかいわんやである

そのような人たちはSIONが、
まるで、さだまさしが書くような心あたたまるような歌を
いくつも書いているという事実を知ったら、のけぞることだろう

「30年」「赤んぼからじいちゃんまで」「がんばれがんばれ」「2月というだけの夜」
「月が一番近づいた夜」「しろながすくじら」「金魚」「帰り道」等々ー
そしてこの「彼女少々疲れぎみ」も、そうだ
歌詞を見てみよう

彼女　少々疲れぎみ
むくわれないから　疲れぎみ
ヤケになるほど　　若くないし
ひとりで生きるほど　強くないし
わかちあうものを　探すけれど
いつも最後は　ガマン　ガマン
バカな女をやるほどの
いい男はいないし　また冬はくるし

酔っぱらえば　みっともないと言われ
黙ってれば　きどってると言われ
欲しがれば　好き者と言われ
さみしがれば　いい年をしたと言われ
彼女　少々疲れぎみ

そして彼女はこう言うのだ
“わかったようなことを歌わないで　そこのヒゲ”

そしてSIONは、あやまるのだ
「どうもすいません　もうしません」w

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/20(水) 01:46:35.32

SION直近の最新オリジナルアルバムは、
2017年に発表された「今さらヒーローになれやしないが」である
この時57才ー
28才の時におシャレな姿でダブルアルバムを発表したSIONも、
それからさらに29年の風雪の月日を、くぐりぬけてきたのである

40代、50代をこえてもなお、名曲をつむぎ続けるSIONのソングライター天才性は
この老境のアルバムにも、いかんなく発揮されている

2曲目の「洒落た日々から遠く離れて」が、実にイイ
歌詞はこうだ

見覚えある痛み　見覚えある苦み
これもいつかのバチか　終わるまで終わらないんだろ?
言うこときかない身体　言うこときかない心
このままダメになるような　弱い夜があるのさ

シャラララ・・・　洒落た日々から遠く離れて　　

努力より多い　結果を欲しがる
もう一回頭からやり直し　ミスター振り出し君
それでもあとはバラ色　きっとバラ色
最後まで見捨てはしないぜ　俺には俺がいる

シャラララ・・・　洒落た日々から遠く離れて

1番と4番の歌詞だけを抜き出してみたが、どうだいこの感情吐露と決意表明はー
おまけに
お洒落の“しゃれ”の部分と、コーラスのシャラララを、かけてるんだぜ !
老境になっても「俺には俺がいる」ってのが、しびれるよ　まったくね

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/22(金) 00:35:22.51

「フラ　フラ　フラ」という歌がある
SION36才の時のアルバムのタイトル曲でもある

主人公はトラック運転手で、ギアの甘い2トンロングが愛車だ
街から街へ、朝から晩まで走りまわる
バイトの助手は主人公の運転手に理解のできない音楽をきき、言葉をしゃべる
救いようのないエラそうな客には、10回までは頭を下げる決意をしている
10回をこえたら、キレるというワケだ

やりたいことは、これじゃなかった
なんでもできる、オレじゃないから

フラ　フラ　フラの前に歌われる歌詞が、上の2説だ
約束の時間に間に合わないことも度々ー
頭も体も爆発しそうになる、渋滞渋滞渋滞の連続ー

やりたいことは、これじゃなかった
なんでもできる、オレじゃないから

フラ　フラ　フラとは、ギアの甘い2トンロングトラック車の
さえない走りを、音として表しているのか?
主人公のさえない人生が、ヨタヨタと進んでることの描写なのか?

この歌の出だしの歌詞は、こうだ

ただの笑い話ひとつ　ちょっと聞き流してくれるか?
負けず嫌いの負けっぱなし　さえない奴の話ー
フラ　フラ　フラ
　　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/23(土) 03:11:54.19

「鏡雨」という歌がある
『鏡雨』というアルバムの冒頭1曲目を飾る歌だ
SION47才の時に発表されたアルバム『住人』と
SION48才の時に発表されたアルバム『鏡雨』は
ともに似たような性質をもつアルバムだが、
これが2枚とも、かなりイイ
大人のアルバムとは、このようなものだ

「鏡雨」という歌の、歌詞を見てみよう

数は多いのに　ただ一人の足音にも聞こえる
規則正しい　独白の大粒な雨が
街に降りる　君に降りる
まるで誰かの　深いため息のように

天と地をつなぐ　無色透明のボールにも見える
無数だが　ただひとつの声にも聞こえる雨が
街に降りる　君に降りる
希望をこめた　あこがれの祈りのように

以上1番と3番を抜き書きしてみたが、
なんと雨に対する描写が、繊細(せんさい)で、詩的なことかー
詩人SIONの力量が、ここで分かる
しかし、にもかかわらず
この歌には、その詩情を吹き飛ばすような
強烈なサビが、待ち受けているのだ

人は同じだと　みんな同じだと
バカいってんじゃねえよ
みんな違うから　のたうちまわってんだろ
みんな違うから　殺し合ってんだろ
みんな違うから　泣いてんだろ
みんな違うから　分かろうとするんだろ

人生初めて、この歌のこの部分を聴いた時
ちょいとした戦慄を感じましたよ

47才と48才という、ある意味50才前の中途半端な時期に
2枚の傑作アルバムをものにしたSIONは、
その事実が、全然世の中には知れ渡っていないけれど
見てる人は見てる　見てますよ
現に私がこうして見てる　書いてる
吉田拓郎や井上陽水や小田和正が47、8の時に
ここまでのレベルのアルバムを残せたか?

いつか歴史が書き換わる日が、きっとくることでしょう

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/24(日) 03:01:55.06

「川の向こう」という歌がある
SIONが自主製作盤として発表し続けている
ネイキッドトラックスの⑥の中に、収録されているものだ
詞を見てみよう　　この時SIONは52才ー

ちゃんと生きたら　生きぬいたら
川の向こうで　みんなに会えるらしい
大好きなあなたや　お前やあいつが
川の向こうで　笑って迎えてくれるって

それを信じて　ふんばろうかね
時々もう　ほとほとイヤになるけど
だから信じて　けっぱろうかね
少々　ぶざまをさらしたって

それにこの世だって　まだ捨てたもんじゃないだろ?
きっと誰かが　ちゃんと見てくれてるって
子供みたいなことを　いまだに信じているのさ

会いたいと　思う人がいるうちは
さよならは　言いたくない人が
いるうちは　まだ・・・

死後の世界の、三途の川を題材としている
いつかはきっと
そこに行くことになる日が来るのだろうが
今はまだ、もう少し
この世にふんばって
がんばって生きていってみようという歌である

他に何が言えるだろう?
これも名曲である

　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/25(月) 02:33:00.63

まず、詞を読んでもらおう

バチ当たりの奴に　バチは当たらずに
恥知らずの顔は　どこ吹く風にのって
すいすいと　生きている
しゃあしゃあと　生きている
恥知らずが　恥知らずが

かみついたお前の牙は　もうボロボロで
かみついたお前のほうが　傷ついていく
くやしさの　雨にぬれ
むなしさの　雨にぬれ
晴らせない　無念にぬれ
ずぶぬれで　ずぶぬれで

お前を信じてる　俺の仲間だから
お前を信じてる　俺の仲間だから

昭和の時代なら
パチンコ屋や喫茶店とかの有線放送でも、このような歌が流れてきて
そこにいる、バチ当たり者どもの耳にもちゃんと届いて
奴らの脳天を一撃できる機会もあったわけだが
令和の現在では決して
このような歌は、街角に流れはしないし、流れてはこない
残念無念

流れてほしいよなぁ　　SION53才の時のアルバムに収録された
「お前を信じてる」という、強烈な歌である

かみついたお前の牙は　もうボロボロで
かみついたお前のほうが　傷ついていく

いつの時代でも、そうなんだよ

　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/25(月) 02:37:01.63

>>27

すいません　一説ぬけてました　下が正しい歌詞です

バチ当たりの奴に　バチは当たらずに
恥知らずの顔は　どこ吹く風にのって
すいすいと　生きている
ぬくぬくと　生きている
しゃあしゃあと　生きている
恥知らずが　恥知らずが

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/26(火) 02:29:33.18

「どこに行くんだろう」という歌がある

どこに行くんだろう　何をするんだろう
いつかなにか　見つかるのかな
いつも笑っている　いつも誰かといる
だけどいつも　ひとりぼっちかも

素敵な出だしだ　どこに行くんだろうというシンプルなタイトルもイイ
宇宙も地球も人類も、どこに行くんだろうという暗喩(あんゆ)までをも、想像させる
しかしこの歌の主人公は中年のおばさんだ
SIONが女性の立場になって歌われる歌は、すぐに浮かぶだけで4曲ある
この歌と「がんばれがんばれ」「遊ぼうよ」「彼女少々疲れぎみ」などだ
まあ「悲しい色やね」や「あんたのバラード」も、女性の立場の歌だから、
そう珍しくもない　　先の詞を読んでみよう

ちいさい頃はね　歌をうたいたかった
みんなあたしに　夢中にしたかった
まだ　小さいじゃないかって?
もうおばさんだよ　
何もしないで　おばさんになっちゃった

ねえ教えてよ　あたしはまだ何かになれるかな?
ねえ教えてよ　そしたらもういい子になるからさ!

なんて嘘だよ　またダマされた?
そんなわけないじゃん　あっ、もう行かなくちゃ
約束があるからー

そして歌の最後は、　いつか何か見つけられるかな?
で、しめくくられる

この時SION44才　もちろん中年のおばさんの彼女には
約束などあるはずはなく、
今日も誰かと笑い合いながら、ひとりぼっちなのである　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/27(水) 02:41:14.99

「元気はなくすなよ」という歌がある

主人公は夜空の星に、調子はどうだい?と問いかけ
俺はまるでパッとしねぇやとつぶやく
そしてサビだ

ここでふんばったら　きっといつかそのうち
面白いことが　あるような気がするからさ
元気はなくさんさ

ここのサビのメロディーの抑揚(よくよう)が、メロディアスでとても素晴らしい
そして興味深い2番の歌詞が、以下に書くこれだ

そういえばいつも　ひとりじゃなかった
いつだってお前が　いてくれた
何も言わないで　黙って教えてくれた

いつも見てくれてるから　悪いこともできやしない
こう見えても天使の暮らしは　やたら心すりへるんだぜ
たまには目をつむれよ

ここでSIONが“お前”と話しかけている相手は、彼女ではない
たぶん自分の守護霊や、背後霊や、先祖霊に対してだと思う
三途の川やあの世のことを、普通に肯定しているSIONのことだから
たぶん普通にそういうことだろう

そういう風にこの歌の歌詞を読みこめば、理解できるはずだ
この時SION、46才ー
歌の一番最後の“お前”だけは、この歌のリスナーに対してである

元気はなくさんさ
お前も　元気はなくすなよ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/28(木) 02:28:27.63

「たまには自分をほめてやろう」という歌がある

お前も　よくやってると
たまにゃ自分を　ちゃんとほめてやろう
くさらず　がんばってると
たまにゃ自分を　ちゃんとほめてやろう

これもありそうでなかった、素晴らしいタイトルだ
着眼点がイイ
福山雅治との共演なので、軽視されがちな作品だけど
あなどってはいけない
これはこれで、十二分に名曲だ

相変わらず　オレの頭はガキで
おおげさに　天国と地獄をいったりきたり
動く歩道を　反対から歩いてる感じだ
いくら歩いても　進まない

こう見えても　わりと繊細(せんさい)なんだぜ
ガラスほど　もろくはないにしても
心にはない　白旗を上げたい夜も
二度や　三度じゃきかない

天国と地獄、動く歩道、ガラス、白旗等
この4つが、なかなか凡人からは出てこない発想、フレーズである
この時SION、44才

だけど　アナタのひとことで
オレは　どこまでもいける

ここでのアナタは、守護霊とかではなく
素直に、愛する奥さんとか彼女、
そのままでいいと思う

もっとみんながカラオケでも歌って、大ヒットしてもいい歌だ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/30(土) 02:10:00.37

「同じ空の下、違う屋根の下で」という歌がある

生きとし生けるものたちは、すべてが同じ空の下に生きている
違うのはそれぞれの屋根だけだ
ではそれぞれ、屋根の下でどのように生きているのか?
SIONは皆が皆、自分自身と戦いながら生きていると歌う

君は戦う　君と戦う
誰もいない　君の中で
君は戦う　君と戦う
助けの来ない　君ひとりだけで

痛みや嘆きや　怒りや憎しみや
恨みやそねみや　感謝や祈りや
あやまちや謝罪や　終わりや始まりや
暦や試みや　送り火や眠りや
おごりや絶望や　重りや闇や
微笑みや愛や　木漏れ陽や光や

同じ空の下　同じ陽ざし射す
違う屋根の下　違う角度で

この時SION、41才
福島で原発がメルトダウンした大震災後
初のアルバムの中の1曲である

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/11/30(土) 02:11:46.66

>>32

×　この時SION、41才

〇　この時SION、51才

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/01(日) 02:12:37.36

「放つ」という歌がある

公式では2009年7月に発売された「鏡雨」というアルバムに収録されているが
同じその年の9月に発売された、SIONの自主製作盤「ネイキッドトラックス②」に収録された
デモバージョンのほうが、鬼気迫ってて、胸に突き刺さるほどに素晴らしい

銀の風に　身をつつまれ
もういいんだよ　心を放つ
自分で招いた　闇に暮れた
朝に夜に　もうさよならだ

俺のこの手は
お前を　抱きしめるためにあったはずだ

眠れない夜　いつも誰かが
俺にのしかかり　首をしめた
でも　俺は見た
月明かりに　浮かんだ顔は
誰でもなく　この俺だった !

消されてたまるか　消されてたまるか
消されてたまるかよ !

この時、SION 48才
背筋を凍りつかせたければ、デモバージョンを聴くようにー
気迫に満ちている

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/02(月) 03:15:11.71

「何処かへ行きたい」という歌がある

重金属超合金ヘビイメタルのギターリフをバックに、トムウェイツ一歩手前
レオンラッセル以上という、しゃがれ声の51才のSIONのボーカルが
語るように歌い、歌うように語る　　私はこの歌が好きだ

とるに足らぬ日　切れ目なく
うんざりげんなり　続いてる
時々思う　全部打ち捨てて
何処か　どっかへ行きたい　どっかへ逃げたい

心ささくれ　トゲだらけ
イヤになるほど　トゲだらけ
時々思う　全部打ち捨てて
何処か　どっかへ行きたい　どっかへ逃げたい

そしてサビがこうだ

この世にパラダイスなどない　分かっていても
この世に楽園なんてない　分かっていても

遠い昔「遠くへ行きたい」という歌が存在したが
今の時代の気分は
やはり「何処かへ行きたい」だろう

そろそろ皆が
どこにもパラダイスなどないことに、
気づきはじめてきている時代なのだからね

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/03(火) 00:28:29.76

「誰も見てなくても」という歌がある

特別なはからいを求めちゃいない　ふつうにやってくれ
ダマしたりあざむいたりせず　ふつうにやってくれ
後ろめたくないのか　恥ずかしくないのか
嫌いにさせるなよ

聖人君子を求めちゃいない　ふつうにやってくれ
怒りのほこさきはそこじゃないだろ　ふつうにやってくれ
自分で落とすなよ　自分を落とすなよ
もったいないだろが

誰も見てなくても　いつだって
神様は見てるって育ったぜ　いつだって
いいことも悪いことも
全部ちゃんと見てるって育ったぜ

俺は弱い男だ
明日にびびってる男だ
だからこそ　だからこそ
俺は俺を　裏切ったりはせんぜ

48才のSIONが自主製作盤として出した
デモテープ集「ネイキッドトラックス②」を手に入れない限り
今のところそこでしか聴けない
厳粛(げんしゅく)で、崇高(すうこう)なナンバーである

誰も見てなくても
神様はちゃんと、このスレを見ているに違いないと思う

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/04(水) 01:56:10.48

「それさえあれば」という歌がある
ひらがな七文字だけの、パーフェクトなタイトルだ

焼けつく日差しの　音さえ聞こえそうな
フライパンの上を　オレは歩いてる
目的がなけりゃ　誰が好きこのんで
フライパンの上を　歩いたりするもんか

凍てつく風の　声さえ聞こえてきそうな
氷の上を　オレは歩いてる
目的がなけりゃ　こんな無視か冷やかしの
氷の上を　歩いたりするもんか

それは食うためだったり　生きるためだったり
明日のためだったり
夢のためだったり　大事なオマエのためだったり
約束だったり

それがあれば　それがあれば
それだけあれば　それさえあれば

ご苦労さん
キミもアナタもボクも私も
皆さんみんな
今日もたくさんフライパンの上や氷の上を
歩いてこられたことでしょう
お疲れさまでした

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/05(木) 01:51:25.58

「2月というだけの夜」という奇跡のような歌がある

力不足のエアコン、ヒーヒーいっても素晴らしいが
白眉(はくび)は次の連続の描写だ

「この川で今日から　もう泳いじゃいけません」
「水が汚れてきたから　もう泳いじゃいけません」
言われたけど　こっそり泳いだ
大きな石に　つかまって
魚といっしょに　流れをこらえたり
仰向けで頭だけ出して　流されたりして遊んだ
ふと気づくと　あたりはすっかり暗くなっていて
そしたら急にこわくなって　川原に転げ上がった
サンダルが何度も脱げたから　手で持って走った
あぜ道を　息もしないで走った
やっと家についた時　えらく叱られたけど
ほっとして　全部ほっとして
あの時の　空の黒さに似て
あの時の　心細さに似て
あの時の　カラッポに似て
あの時と　かけ離れたオレがいる

カラッポの現在の自分を描写するために
思い出された子供時代の想い出なのか?

力不足のエアコン　ヒーヒーいって
やって来ては行く車が　ヒューヒューいって　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/05(木) 02:18:40.66

(閑話休題)

私がこのスレを書き始めてから、あれこれ一か月が過ぎた
私がこれを書いているのは、私自身があらためてSIONの詞を勉強してみようという気持ちと
SIONについてまったく知らない人でも、偶然このスレを開いてここを読んで
SIONに興味をもってくれたら、いいなァという思いからである

活動期間が35年間にも及び、30枚近いアルバムが存在するSIONの
では、まったくの初心者はどのアルバムから聴けばいいのですか?
と、私が聞かれたとしよう
私は答える　“2001年に発売された『俺の声』という2枚組ベスト盤の、2枚目から聴くように”とー
このベスト盤の2枚目に収められた16曲こそが、まったく捨て曲なしの黄金の16曲である
古くからのファンは、あれこれ言うかもしれない
しかし、私を信じてくれる初心者のアナタは、道を誤ってはいけない
今では中古市場でしか手に入らない、『俺の声』という2枚組ベストの2枚目から
アナタはSIONへの道を、歩み続けるべきなのである　　それで間違いはない
この2枚目の16曲を聴いて何もこなかったら、アナタはSIONと縁がないのである

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/06(金) 02:25:11.67

「午前3時の街角で」という歌がある
SION、38才の時の作品である
この歌には忘れられない、絶妙なフレーズがある
それがこれだ

しおれてられない
しおれてられない

人間が、白菜や野菜のように、しおれてると書いた文章を読んだ記憶はない
ましてや、これは文章ではなく、歌なのだ
SIONはここで、イジけてちゃいられねえぜという気持ちを
“しおれてられない”という言葉で、表している
粋なフレーズだと思う　そしてクスリと、笑わせてもくれる

こんな日に限って　お前を思い出す
なんでも話せたから　言っちゃいけないことまで言った
いつかまた会える　そんな別れじゃなかった
どんな楽しい思い出も　最後の顔になる

ここも、含蓄(がんちく)のある4行である
永遠の別れを、こんなささいなことで経験してしまった人間にとっては
胸に突き刺さる4行である

午前3時の街角で　摂氏0度の息をはく　白い
非常用の空元気を　全部呼び出して
あの車が行ったら　この道渡りきろ

そして　しおれてられない　である
キミもアナタもアンタもボクも、
たまには白菜や野菜にでもなった気分になって
「しおれてられない」と、つぶやいてみよう
立ち直りが、早くなるかもしれない

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/07(土) 02:21:01.49

「雪かもな」という歌がある

明日の朝は　雪かもな

昨日までの天気予報では、今日の東京に雪マークがついていた
今見てみると最高気温が6度で、一日中気温はそのままで、曇りマークに変わってた
少しぐらいの雪はちらつくかもしれない

足はすべるし　歩きづらいし
だけど奇麗な　雪が好き

SIONが41才の時のアルバムに、収録された歌である

「疲れた」って　言わなくなったのは
君が　教えてくれたこと
身体と心を　もって生きてんだから
疲れてない奴なんて　いやしない

2番では

「もういいや」って　投げなくなったのも
君が　教えてくれたこと　　　　　

と、なっている　

そして主人公は最後に、君が教えてくれた歩き方で
ゆっくり雪の上を歩いてゆくと、歌う

2011年と2014年のアコースチックライブのオープニングナンバーがこの歌で
それはそれぞれ　自主製作盤の「ネイキッドトラックス」の⑤と⑧で、聴くことが出来る
冬の夜に聴きくらべてみるのも、おつなものだ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/08(日) 02:02:35.68

「ちょっとでいいんだ」という歌がある

神様、ちょっとでいいから
俺の背中を押してくれないか、という歌である

このような歌のタイトル、歌詞の内容が、ふと頭に浮かんだ時
誰だって“やったぜ”と思うものであり
次に思うことは　「待てよ、すでに似たようなアイディアを、誰かが歌にしていないか?」
という疑問である
SIONだって、そうだったに違いない
そして、まだ誰も歌にしていないということを確認して初めて
自分自身にGOサインを出したに、違いない
出だしはこうだ

時々　襲ってくるんだ
身体を　しめつけられるんだ
怖くて　たまらないんだ
不安で　つぶれそうなんだ

必死に　言いきかせるんだ
俺ひとり　放りだされたわけじゃない
不安の　かけらもない奴なんて
強がってるか　いかれてる奴だけさ

神様　忙しいだろうけど
手が　空いたら
神様　俺の背中を
押してください

神様　ちょっとでいいんだ
手が　空いたら
神様　俺の背中を
押してください

これも、SION 41才の作品である

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/09(月) 02:25:19.34

「お前がいなけりゃ」という歌がある

お前三部作として「お前がいる」「お前がいなけりゃ」「お前を信じてる」が、すぐ浮かぶ
「お前の空まで曇らせてたまるか」は、少々タイトルが長い

お前がいなけりゃ　お前がいなけりゃ
何も　ないのと同じさ

このリフレインが、たまに私の脳内にへばりついて
無限再生リピートされる時がある
単純だからこそ、深いのだ

手をふるアナタが　二人に見える
「またな」ってアナタと　「さよなら」ってアナタと
二人に　見えるよ

お前がいなけりゃ　お前がいなけりゃ
何も　ないのと同じさ

2009年48才の時のSIONの作品だが
この歌もまたオフィシャルアルバム「鏡雨」バージョンよりも
「ネイキッドトラックス②」のデモバージョンのほうが
胸を打つのだ　　より呪術的に聴こえるという意味でー

お前がいなけりゃ　お前がいなけりゃ
何も　ないのと同じさ

今夜も私の脳内に再生されるのは
デモバージョンのほうのSIONの声だ

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/10(火) 02:20:29.20

「俺は5つで70で」という歌がある

「お前がいなけりゃ」つながりでこの歌を選んだが
この歌では

お前がいなきゃ
この胸のあたりが　ガランガランだ

と、歌う

この“ガランガランだ”が、ブルースに響く
空虚すぎて、がらんどうになっちまうんだということを
ガランガランという音で、表しているわけだ
歌詞はこう始まる

高速で低速　永遠の一瞬が　寄せては返す
波打ちぎわを行く　　俺は5つで70で

気まぐれの空に　うつろう心　吹かれに吹かれ
瀬戸際を飛ぶ　　俺は5つで70で

お前がいなくても　行き先は変わらない
だけどお前がいなきゃ　お前がいなきゃ
この胸のあたりが　ガランガランだ

SIONこの時57才
2018年発売の「ネイキッドトラックス⑪」に収録されている
タイトルは、俺は5つから70までの精神年齢を
いつもいったり来たりしているんだということを、示唆しているのだろう
私はSIONより少し年上だが
その気持ちは、すごくよく分かる

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/11(水) 07:45:35.79

「泡沫(うたかた)の世を飛ぶ」という歌がある

彼らが落ち着きはらって見えるのは　
落ちつきはらって見せてるからで
心の中は誰も大差ない　だから恐れなくていい

彼らが余裕の顔に見えるのは
余裕の顔に見せてるからで
ほんとのとこは誰も大差ない　だから怖じけなくていい

子供のころに憧れた　かっこいい大人なんていないのさ
身を守る嘘と戯言と　矛盾でボロボロになりながら
誰もが泡沫の世を飛ぶ蜻蛉(かげろう)　はかなく　だけどしたたかに
誰もが泡沫の世を飛ぶ蜻蛉(かげろう)　はかなく　危うくだけど高く

お前の本気を見せてやれよ　いつも裏で小馬鹿にしてた奴らに
お前の本気を見せてやれよ　いつからかあきらめにあぐらをかいていた自分に

お前の本気を見せてやれよ

歌詞を順不同で抜粋しただけだが
これを名曲と呼ばずして
何を名曲と呼べばいいのか?
全10曲完璧に無駄のない
傑作アルバム『不揃いのステップ』の9曲目である
2014年ーこの時SION、53才である
　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/13(金) 02:28:08.51

「30年」という歌がある

25の時に飛び出してね　なにしろ日本がなんだかイヤになって
なにかをやってやろうってわけじゃなくてね
なにしろ日本がなんだかイヤになって

もう30年　あっという間　そうでもないか
もう30年　ニューヨークだよ

ずっと日本食のレストランでね　とにかく働いて　働きまくって
そのうちカミさんといっしょになってね
そしたら自分の店がやたらと欲しくなって

20年前か　もったよ　まあまあの店　小さくないよ
20年か　そんなになるか　でも今年でやめた　もうリタイア

一年に一度こうやってね　おフクロがもう年だから顔を見にくるんだよ
でもなんか俺はもう家に泊まりづらくてね
帰ったらいつも　ビジネスホテル　ビジネスホテル

そうかもう30年か　あっという間　いやそうでもないか
そうかもう30年か　ニューヨークだよ

そんなにいるのにしゃべれないんだよ
カミさんがしゃべれるからそっちはいつもまかせっきり
子供はやっぱり英語のほうがうまいね
いつも二人して英語で俺の悪口言ってたよ

でもその娘も昨年飛び出して行っちまいやがった
なんとかって野郎といっしょに暮らすんだと
年頃になったらもうどうしようもないね
年頃になったらもう聞きゃあしないんだから

以上「３０年」という歌の全歌詞である
SION、34才の傑作である

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/14(土) 02:40:35.79

「砂の城」という歌がある

これも最上Aクラスの名曲だ

気にしないで行く　気になっていても
まだ見えない壁に　つぶされたりはしない

重かった季節が　懐かしいように
この最悪だって　こえるためにある

波打ち際で　砂の城を作って
波にさらわれて　くずれ　とけて
消えて　だからまた作る

彼女はかわいくて　だから好きだ
彼女もかかえてる　ひとり分の夜を

答えを欲しがる　あいつに言ってやれ
そうせかすなって　順番があるんだ

波打ち際で　砂の城を作って
波にさらわれて　くずれ　とけて
消えて　だからまた作る

悲しくはない　これが好きだから
悲しくはない　これが好きだから　ラララ

“波打ち際で”から“だからまた作る”までのサビのメロディーが
マントラのように
永遠に続いてもよいと思われる、快感のメロディーだ

必殺必聴のナンバー
SION、40才の作品である

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/16(月) 13:20:18.52

「地下街」という歌がある

大切だった人と、軽い態度で永遠の別れをしてしまった人には
胸に突き刺さる歌だ

しみる雨をさけて　地下道を歩く
こんな日は
お前のことなど　思い出したくない夜に限って
いつも　俺はやられる
仕事帰りの　疲れた顔達の向こうから
お前が　来ないかと

せっかくの最後の夜　何も言えず
おきまりの　青い態度で手を振った
違うだろ?
もうひとつの声に　フタをして
シャッターの　降りてしまった　地下街で

道路みたいな顔した　地下道を歩く
帰る家が　
帰りたいままであるように思う　気持ちのその側で
俺はやられる
置いていかれた　クリスマスの飾りつけの向こうから
お前が　来ないかと

せっかくの最後の夜　何も言えず
おきまりの　青い態度で手を振った
違うだろ?
もうひとつの声に　フタをして
シャッターの　降りてしまった　地下街で

せっかくの最後の夜　何も言えず
おきまりの　青い態度で手を振った
違うだろ?
もうひとつの声に　フタをして
シャッターの　降りてしまった　地下街で

来週はクリスマス
地下街を歩きながら
孤独をかみしめながら
この歌を　くちずさんでみよう

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/18(水) 03:07:18.39

「ようよう」という歌がある

これがたまに聴くと、ボブマリーかスティングかってぐらいの
レゲエ調のサウンドとそのムードで、ノリノリにさせてくれる
シンプルな歌詞もいい

ようよう　腹へってるか?
ようよう　腹へってるか?
なんでもいいから　たまりゃいいから

ようよう　腹へってるか?
ようよう　腹へってるか?
ふくれりゃいいから　ドシッとくりゃいいから

いかしたやつを　聴かしておくれよ
チャラチャラしたのは　もうけっこう
いかしたやつを　聴かしておくれよ
そしたらどこへだって　ついていくから

ようよう　どんな感じか?
ようよう　どんな感じか?
最高じゃないにしても　なんとか間に合いそうか?

いかしたやつを　聴かしておくれよ
ゴッソリ全部　もっていかれるくらいのを
いかしたやつを　聴かしておくれよ
もう二度と　アンタに話しかけれないくらいのを　　

聴かしておくれよ
ようよう
ようよう

34才の時の作品だが、もうこの時のSIONの初歩的なダミ声が
現在60才手前の、超ド級のSIONのしゃがれ声に
相通ずるものを、どこか感じさせる
20代の時のSIONの声は、またそれより別人だ

　

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/20(金) 01:52:49.96

「胸を張れ」という歌がある

無理だな　もういいや　口にしてみる
すぐさま　打消し　空を見上げる
負けず嫌いの　勝ち知らずさん
胸を張れ　まっすぐ

あの頃はも　いつかはも　胸にしまって
いつもの　いつものように　やることをやるさ
考えすぎの　単純さん
胸を張れ　まっすぐ

投げ出さず　生きている　それだけで勝ちさ
食いしばり　生きている　それだけで勝ちさ

くやしさを　積み上げたら　空に届くぜ
かっこつけて　恥ずかしくなり　空に謝る
幾つになっても　つまずいてしまうさん
胸を張れ　まっすぐ

大切を　抱きしめて　そのまま行けばいい
泣いて　笑って　まっすぐ行けばいい

投げ出さず　生きている　それだけで勝ちさ
食いしばり　生きている　それだけで勝ちさ

それだけで勝ちさ　　そう思うぜ

あえてすべての歌詞を書きこんだのは
SIONをまったく知らない人に
この歌詞を、すべて読んでもらいたかったからだ

勝ち負けなんかどうでもいいということを、十二分に悟ったうえで
ここでは“それだけで勝ちさ”と、あえて歌っている
そう思えてならない
SION、53才の作品

**NO MUSIC NO NAME** · 2019/12/25(水) 02:52:39.98

「お前の空まで曇らせてたまるか」という歌がある

武士は食わねど高楊枝
武士じゃないが　それもらった
威張る必要は1ミリもないが
お天道様の下　胸をはっていくさ

散歩中の犬が「無理しちゃって」と
まん丸い目で　俺を見上げるが

この唐突に出てくる“散歩中の犬の丸い目”が
クスリとこちらを笑わせてくれる
不屈の精神を持ち合わせていても
決してユーモアやウィットを忘れない
SIONのあたたかさが、好きだ

いよいよ　怪しくなってきた
雨雲に　囲まれたらしい
だったら　突破してやるさ
突っ込んでいけば　この先行き止まりだと

こんな時まで　笑っているのは
さすがに少々　骨身に応えるが
だからといって　ふさぎこんで
お前の空まで曇らせてたまるか

たとえ俺がずぶ濡れになろうが
一滴もお前を　濡れさしゃしない
こんな空だから　一筋の光も目立つはずだぜ
お前の空まで曇らせてたまるか

ここでのお前は
愛する連れ添いか
自身の親、または子に間違いない

**NO MUSIC NO NAME** · 2020/03/02(月) 22:40:39.15

不屈

**NO MUSIC NO NAME** · 2020/04/16(木) 14:36:16.33

の精神

**NO MUSIC NO NAME** · 2020/04/16(木) 17:12:35.44

昔好きで聞いてたずっと忙しくて最近暇になって久しぶりにまたSIONの歌聞くようになった
ただSIONの歌は刺さるし揺さぶられるから聞くのに精神的体力がいる
歌詞だけならなんとかと、、、このスレ見てるぞ

**NO MUSIC NO NAME** · 2020/11/07(土) 05:41:07.11

シエイデイドールズとやった新宿の片隅からがカッコいい