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小池氏の適否表明が課題

 一方、許認可を握る都知事の小池知事は昨年9月、朝鮮学校が朝鮮総連の影響下にあると結論づけた平成25年の都調査報告書をホームページ(HP)に再掲載するよう職員に指示した。

 都は調査報告書で、朝大を設置・運営する学校法人「東京朝鮮学園」(東京都北区)について「朝鮮総連関係団体に経済的便宜を図るなど、準学校法人として不適正な財産の管理・運用を行っている」と断定していた。

 さらに、小池知事は同年11月、拉致被害者救出を呼びかける北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」にメッセージも寄せるなど、朝大運営の適否検討や拉致問題解決に向け自治体独自の動きを活発化させる構えを示していた。

 ところが、各種学校を所管する都私学行政課は朝大に配慮した不可思議な対応を取り続けている。

 今年2月、同課が朝鮮総連関連企業の債務を肩代わりした朝大の不適正な運営を認定したのにもかかわらず、私立学校法に基づく改善命令を怠っていることが判明。

 朝大の土地が朝鮮総連関連企業の債務として担保提供されたため、都は認可基準に違反していると断定したが、土地の売却益が関連企業の債務返済に充てられると「違反はない」と一転していた。

 小池知事が認可取り消しを目指すならば、都議選で都民の安心・安全を守る立場から、その適否を有権者に明らかにして審判を受ける必要がある。「都民ファーストの会」は5月23日、情報公開の徹底、待機児童対策の加速など13の基本政策を柱とした公約を発表した。

 この中で、朝大の認可取り消しの適否については一言も触れていない。そもそも取り消しに都議会の承認は不要。都知事の職権で決断できるからだ。

 一方、自民党では、北朝鮮による拉致問題対策本部チームが4月10日、提言書をとりまとめ、拉致被害者帰国の方策として「朝大について、各種学校としての認可の妥当性の見直しを含め、公的助成が行われないよう必要な措置を講じる」と明記した。

 朝大は認可が取り消されると、固定資産税が免除されるなど半世紀近く享受してきた全ての税制上の優遇措置を失うことになる。自民党は認可取り消しが北朝鮮に対する圧力につながると踏んでいるのだ。

 小池知事は朝大の運営に関心があるとされる。自らの立場を明言すべき時期が到来しているのではないか。

朝鮮大学校
昭和31年、2年制として東京都北区の東京朝鮮中高級学校内で創立。昭和43年、東京都の美濃部亮吉知事(当時)が各種学校として認可し、平成15年には政治経済、理工など8学部制に移行した。私立学校法の適用校に位置づけられ、認可した東京都に改善命令を実施する権限がある。

(おわり)