核・ミサイル開発を主導してきた金正恩朝鮮労働党委員長を盲従する朝鮮大学校(東京都小平市)に恐怖を覚えた地元市議が6月の定例市議会で、住民の安全を守る立場の市に北朝鮮の脅威を訴え、対策を求めた。

 一方、各種学校としての朝大の許認可権を握るのは、小池百合子知事だ。小池知事の最大の関心は、豊洲問題と自ら率いる地域政党「都民ファーストの会」候補の都議選での勝利だろう。残念ながら朝大問題についての発言は聞かれない。

小林市長「市で朝大の事件ない」

 「朝大を調べれば調べるほど、このような機関が市内に存在することに恐怖を覚えた」

 伊藤央(ひさし)市議(無所属)が6月8日に開かれた市議会の一般質問で市執行部に不安を吐露した。その数時間前には北朝鮮が地対艦巡航ミサイルを日本海に向けて発射したばかりだった。

 朝鮮総連関係者によると、朝大は昨年、日米壊滅を目指す手紙を北朝鮮の正恩氏に送ったり、朝大の張炳泰(チャンビョンテ)学長が朝鮮総連の許宗萬(ホジョンマン)議長から指示を受けて米国圧殺運動の展開を在校生に指示したりしていた。

 さらに許氏は同年10月、朝大在校生が所属する朝鮮総連傘下の在日本朝鮮青年同盟メンバーを正恩氏に従う「戦闘する戦士だ」と断言している。

 伊藤氏はこうした朝大を巡る産経新聞の報道を踏まえ、「このような機関が市内に存在することについて、市民の安心、安全を守る観点からどのように認識しているか」と市側をただした。

 これに対し、小林正則市長は「報道された内容は、武力行為や国家間に関することであることから、答弁は差し控える」と発言。

 また、伊藤氏が「市内の児童の保護者から朝大周辺で児童を遊ばせることについて、不安の声を聞いた。どう考えるか」と質問すると、小林氏は「保護者からの不安の声は、昨今の報道による影響がある」と分析。

 結局、市側は、いずれの質問に対しても、市の行政の所管外の案件として“無視”する立場を貫いた。

 さらに、小林市長は朝大の在校生や職員らの行状について「市の中で問題行動を起こしたり、懸念される事件・事故も起き(たりし)ていない」と断言。

 その上で「外国人であろうと、どこの国籍であろうと、われわれは、住んでいる人が暮らしていく上で不自由のない生活を行政サービスとして提供していくという基本原則に立って対応したい」と述べた。

市議会「国益に反する憂いない」

 実は市議会は昨年9月9日、同日に核実験を実施した北朝鮮に抗議する議長声明を出している。市議会各会派の代表者会議で決定したものだ。

 声明は「朝鮮民主主義人民共和国により繰り返される核実験の強行は、世界の核廃絶の機運の高まりに逆行する無謀な暴挙であり、断じて容認することはできず、強く非難する」と断罪。

 「市議会は、今回の核実験に強く抗議するとともに、今後、日本国政府においては、国際社会が一致した対応をとるために主導的な役割を果たすよう強く求めるものである」と訴えた。

 そもそも、市議会は、まだ朝大が各種学校として認可されていない昭和41年6月23日、政府や都に速やかな認可を求める意見書を全会一致で可決している。

 意見書では「政府には在日朝鮮公民の民族教育が国益に反する憂いがあるとの見解がある」と指摘。そして「小平市にある朝鮮大学校学生の日常の言動からみてもそのような憂いはない」として、政府と反対の立場を強調していた。

 「憂いはない」と判断した市議会だが、43年に各種学校として認可された朝大は現在、核開発を続ける正恩氏を推戴(すいたい)しており、憂いを膨らませる運営を実践している。

http://www.sankei.com/premium/news/170623/prm1706230003-n1.html

>>2以降に続く)

http://www.sankei.com/images/news/170623/prm1706230003-p1.jpg
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朝鮮大学校の正門=9日、東京都小平市(産経新聞社撮影)
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「都民ファーストの会」の都議選公約を発表する東京都の小池百合子知事(中央)ら