韓国で「戦犯旗」とも呼ばれる旭日旗を連想させるデザインの製品を発表したとして、ネット住民らが批判の矛先を日本のみならず、米国にも向け始めた。攻撃の対象となったのは米ハンバーガーチェーン「バーガーキング」や、ツイッターで世界一のフォロワー数を誇る人気歌手、ケイティ・ペリーさんら。カニのデザインを旭日旗と重ね合わせるなどの「こじつけ」が止まらないようだ。

カニが旭日旗?

 5月に韓国国内で発売された、バーガーキングの新商品「カニエビバーガー」を紹介するブログ。味や価格を詳しく伝える記事の内容とは離れ、コメント欄は掲載された1枚の写真について議論が繰り広げられた。「カニを装った『戦犯旗』じゃないか」。

 包装紙には、赤い甲羅から8本の足が伸びたカニをかたどったデザインが印刷されていた。「『ネット愛国』発動」「また病気が始まった」と過剰反応を嘆く声に混じり、「色も赤で、誰がみても旭日旗でしょ」「こんなに巧妙に戦犯旗を生活に溶け込ませるなんて、身の毛がよだつ」と「旭日旗」批判に同調する意見も上がった。

ワンピース、少女時代…法廷闘争にも発展

 現在も海上自衛隊の正式な自衛艦旗などとして使用されている旭日旗。サッカー日韓戦などで使用され問題となるケースもあるが、ネット住民らは旗そのものだけでなく、わずかでも旭日旗を想起させるデザインに対し、即座に反応。社会問題化を図ってきた。

2014年には、人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」の展示会について、「旭日旗に似たデザインの旗が原作に登場する」として多くの抗議が寄せられ、会場貸し出しが取りやめに。法廷闘争に発展した末、ようやく開催にこぎつけた。

 昨年夏には人気女性グループ「少女時代」のメンバーが来日時、旭日模様で「TOKYO JAPAN」と書かれたスタンプを使用した写真をSNSに掲載。手書きの謝罪文を発表したり出演するレギュラー番組を降板するなどの大騒動となった。

 中心の丸から放射状に線が伸びるデザインは、すぐにSNS上で拡散。批判の対象は、噴水公園の航空写真にまで広がる(添付写真を参照)。

ケイティ・ペリーさんも標的に

 旭日旗批判は韓国内や日本にとどまらない。冒頭のハンバーガーのほか、今月20日には靴のブランドも所有する人気歌手、ケイティ・ペリーさん(32)のインスタグラムに掲載された靴の写真が標的となった。鼻の赤いピエロをイメージした靴と、サーカス小屋を連想させる紅白の背景に対し、やはり韓国のネット住民が「旭日旗」と“認定”。非難を殺到させた。

 15年にも、米ニューヨーク・マンハッタンのロックフェラー・センターで、ショーウインドーに「日の出」と題した油絵が展示され、在米韓国人団体が抗議書簡を送付。後光に黄色を配したデザインと旭日旗を結びつけるのは困難だったが、韓国メディアは「戦犯旗を連想させる」(朝鮮日報)と言い切っていた。

「魔女狩り」恐れデザイン専門家も忌避

 韓国経済新聞は旭日旗論争について、「後光を表現した単純な図案でも、批判を意識して使用しない」とするデザイン専門家の声を紹介。論争が「魔女狩り式」に展開されていると指摘する。

 バーガーキングの「カニエビバーガー」の包装についても、「こじつけとしか思えない」(ソウル郊外在住の女性)との声もある。

 同紙は別の評論家の意見を引用し、旭日旗に対する反応について「民族主義に傾倒する常軌を逸した嫌日」と表現。「過度な嫌日は韓国のイメージを低下させるだけだ」と行き過ぎを懸念している。(外信部 時吉達也)


http://www.sankei.com/premium/news/170623/prm1706230006-n1.html
2017.6.23 07:00