今月になって韓国へ亡命した2人目の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)兵士は、警戒の厳しい南北の非武装地帯を35キロにわたり歩いて軍事境界線を越えたという。

 この兵士は23日午後9時半ごろ、江原道(カンウォンド)鉄原(チョロン)郡にある韓国軍の監視塔に、朝鮮人民軍兵士が手を振り亡命の意思を示しつつ接近してきた。

 韓国軍は、意思疎通を円滑に行うために拡声器放送を一時中止した上で、この兵士の身柄を安全に確保した。

 朝鮮日報系のテレビ朝鮮によると、この兵士は北朝鮮・江原道の洗浦(セポ)郡にある新兵大隊に入隊したばかりの17歳で、35キロの距離を歩いて監視塔までやって来た。

 取り調べでは「韓流ドラマと映画で韓国社会の姿を見た、豊かな韓国社会に憧れていた」と動機を語っている。

 同じ江原道の軍事境界線では13日にも別の朝鮮人民軍兵士1人が韓国に亡命している。

 この地域は、険しい山の中にあり、身を隠す丈の高い草が茂る6月から9月にかけての時期は亡命のチャンスだが、わずか10日で2人も亡命者を出したのは極めて異例のことだ。

 亡命事件が再発した背景について、匿名の北朝鮮研究者は韓国の通信社、ニュース1に対して、金正恩政権が進める核兵器、ミサイル強化政策が背景にあると語った。

 すべての資源を核兵器、ミサイルに動員しているせいで、最前線の部隊には食糧配給すらまともに行われなくなり、士気が低下しているという。

 通常、亡命事件が発生すれば北朝鮮当局は再発防止のために警戒を強化するが、再発を防げなかったことは、軍内の士気の低下や綱紀の乱れが深刻なレベルに達している可能性がある。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170626/soc1706260021-n1.html