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2017/06/27(火) 01:32:03.14ID:CAP_USER地方では、新規参入企業が増え、中国政府は20年までに国際市場で競争力を持つ3〜5社のリーダー企業を育成することを目指す。
ところが、肝心の産業用ロボットメーカー側からは、威勢のよい声が聞こえてこない。
技術力では日本勢に大きく水を開けられており、地方で雨後のタケノコのように増え続けるロボットメーカーの経営基盤が懸念材料だからだ。業界の雰囲気は“笛吹けども踊らず”となっている。
人民網によると、5月16〜17日に浙江省で開かれた「第4回中国ロボットサミット」では、期間中の契約プロジェクト件数が26件、契約総額は368億7400万元(約6000億円)に達した。
このサミットは、中国の工業・情報化部(省)、科学技術部(省)などが指導し、浙江省政府が主催した。会場では、産業用ロボットだけでなくスマート工場、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)など、先端技術が披露された。
中国で産業用ロボットが注目されているのは、国を挙げた支援策があるからだ。
「世界の工場」と呼ばれる中国だが、この10年で人件費が約10倍に高騰し、国際競争力の低下が懸念されている。
危機感を抱いた中国政府は、2015年5月に発表された向こう10年間における製造業の道筋を示す計画「中国製造2025」で、高度なデジタル制御の工作機械やロボットを導入するなど、IT技術と製造業の融合促進を目指している。
地方政府も競って助成金などの支援策を打ち出している。
しかし、中国の産業用ロボット業界は盤石とはいえないのも事実だ。
現地メディアの報道によると、15年の中国における産業用ロボット市場シェアは、ファナック、安川電機、スウェーデンのABBなどの外資系が上位を占め、中国メーカーのシェアは合計約8%にすぎない。
中国国内で使用されている減速機やサーボモーター、駆動装置は輸入に頼っており、基幹技術では日米欧に後れを取っている。16年の重要特許申請は、安川電機とファナックが世界1位、2位を占めており、上位15社に中国企業は入っていない。
三菱東京UFJ銀行のリポート(16年8月)によると、政府助成金などの支援策の下、短期間に約1000社の企業がつくられたものの、ペーパーカンパニーの存在や過剰な競争、助成金詐欺などがあったという。
こうした地方メーカーの多くが部品生産などに携わり、独自技術が育ちにくい。日米欧の先進技術をキャッチアップするのはまだ時間がかかりそうだ。
日本企業に死角があるとすれば、すべてのモノがインターネットにつながるIoTへの対応だ。
中国ではIoT規格の団体を設立し、中国で開発された通信規格やガイドラインを世界的に促進している。
中国最大の家電メーカー、美的グループが、独産業用ロボット大手のクーカロボティックスを買収したことも、家電産業からのアプローチでIoTへの対応を加速させるはずだ。
日本勢も民間レベルでは負けてはいない。安川電機は、埼玉県入間市にIoTやAIを活用した次世代生産工場の新設を決めた。ファナックも、産業用ロボットと各種センサーがデータを集積し、分析や制御を行う製造現場向けのIoT基盤を確立している。
日中の戦いは、短期的には日本が有利だが、中国は自国内に大きな産業用ロボット市場を持つだけに、ニーズに合った対応を取れば市場開拓が加速するはずだ。両国の争いに今後も目が離せない。(経済本部 鈴木正行)
http://www.sankei.com/premium/news/170627/prm1706270005-n1.html
http://www.sankei.com/images/news/170627/prm1706270005-p1.jpg
北京市で開かれた世界ロボット大会で披露された米リシンク・ロボティクスの産業用ロボット。世界一となった中国市場における海外メーカーの期待は大きい
http://www.sankei.com/images/news/170627/prm1706270005-p3.jpg
安川電機・中国現地法人の産業用ロボット工場を視察する中央大学の学生ら=2015年9月、中国江蘇省常州市